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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
18.初陣U
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すこともあるのだ。
「参与、お気をつけください。米国に行くまでは…。」
「分かっている!しかしこいつらが死なない限りインドからは出れん。」
 瀬崎はため息をつく。この上官は扱いやすいが馬鹿すぎる。注意しなければこちらの身まで危うくなる。
「軽率な行動は控えるべきです。あんな出来そこないの部隊、何もしなくても死にますよ。」
「何を言っている。足を引っ張る初陣組も全員生き残り機体損傷もないんだぞ?」
「確かに死の八分を全員超えたのは意外でしたが、それもいつまで続くことか。まあ見ていてください。光線級も要塞級もいない数百の群れを蹴散らした程度では到底BETAの恐ろしさなど感じなかったでしょう。EUではこの程度戦ったうちに入りませんでした。あの地獄はこんなものじゃない。」
 瀬崎の目に暗い光がともる。
 瀬崎がヨーロッパ戦線で感じた恐怖は瀬崎の夢も希望も打ち砕き、人格すら変えた。あふれ出るBETA、食いちぎられる戦友、そして断末魔。それらは今でも瀬崎の悪夢としてよみがえってくる。昨日まで隣で共に語り合い、苦楽を共にした仲間が目の前で食われていく光景は忘れられるものでない。
 あの恐怖から逃げるためなら帝国を捨て、米国人の靴をなめることをも厭わない。それが瀬崎の本心だった。
「彼らもすぐに気付きますよ。BETAとの戦いには絶望しかないことを。」

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