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星河の覇皇
第一部第四章 若き獅子その一
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分達が豊かであるからそう言えるのだと考えていた。そしてそれはある意味において真実であった。
「我々には限られた土地と資源しかない。そんな状況ではこうするしかないのだ」
 エウロペは半ば追い出されるような形で今の星系にやって来た。この地は比較的豊かであり彼等は最初はこの地に進出出来たことを多いに喜んだ。
 だがそれは暫くの間だけであった。彼等がいる場所は北と西は何千、何万光年もの間何もない場所であった。恒星も何も無い。ただただ拡がる暗黒の空間があるだけであった。
 そして東は広く高く厚いアステロイド帯に阻まれている。ここは磁気も激しく彗星までが乱れ飛んでいる。変光星や超惑星、赤色巨星、ブラックホール等がひしめいていた。しかも全域に渡って重力も異様なものであった。それは事実上連合とエウロパを阻む壁であった。これは連合とマウリア、サハラとの境にもあったがエウロパの側にあるこれは一際長く高く厚いものであった。
 唯一の回廊には相互に要塞群を置いている。互いの侵攻を阻む為だ。そこからは誰も行き来することなど出来はしなかった。
 そうした閉塞した状況に彼等はあった。そんな彼等が多くの勢力が林立している南方のサハラに進出するのは当然の成り行きであった。
「スペースコロニーなどたかが知れているしな」
 エウロパにはスペースコロニーも多い。だがこれはかかる費用や資源の割には収容出来る人員が少なく甚だ不経済な代物であった。
 コロニーは巨大なものは作れない。技術的には可能でも資源がそれを許さなかった。コロニーを建造するよりも惑星を開発し居住可能にする方が余程効率が良かった。
 しかしエウロパにはそれが可能な惑星は残されてはいなかった。元々狭く惑星も一つ一つは豊かだが数は少ない。そして資源についてもそれは同じであった。
 連合の様に何処までも続く開拓地など無い。彼等はその狭い領土で人口を何とか抑制してその勢力を保っていた。
「連合の人口が三兆を越えているというのにな。我々は長い間一千億で抑制せざるを得なくなっている」
 それはエウロパにとって致命的な弱点となっていた。彼等は経済力、技術力において連合と比肩していたが人口において大きく水を開けられその国力差は覆せないものとなっていたのだ。
 だが連合がまとまりに欠くうちはそれでも気にならなかった。しかしここ二百年の流れは連合の中央集権に傾いていた。
「だが今までは特に気にする段階ではなかったのだ」
 しかしこの前遂に中央軍が設立された。各国の軍を連合中央政府の下に統合して置いた連合の統一軍である。
「奴等が中にいるうちはまだいい。しかしそれが外に向かったならば・・・・・・」
 真っ先に狙われるのは小勢力に分裂しているサハラとエウロパであろう。とりわけこのエウロパには致命的な弱点が存在していた。

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