第七部第一章 流浪の民その四
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「難民達の志願状況はどうなっていますか」
八条は統合作戦本部長室に行き本部長であるバール元帥と話していた。
「順調に進んでおります」
バールはその問いに対して快く答えた。
「このままいけば目標である百個艦隊は楽に到達できるかと思われます」
「それは何より」
八条はその答えに満足した声を出した。
「最初話を聞いた時はどうかと思ったのですが」
「どういうことですか」
「いえ。所謂外人部隊というのはどうかと思いまして」
彼はここでその整った顔をやや曇らせた。
「そうした部隊は軍の差別化を招くのではないかと思ったのですよ」
「確かにそれはありますな」
バールはそこでこう言った。
「実際に彼等にはかなり過酷な任務が向けられるでしょうし」
「やはり」
それは充分予想されたことであった。これは八条の好むと好まざるによらず。
「元々そうした任務を請け負う部隊を欲しての募集でしたから」
「そうそう奇麗事ばかりではいかないということですか」
「長官には申し訳ありませんが」
バールはやや表情に影をささせた。
「ですが軍とはこうした一面もあることはご承知だと思います」
「それは確かに」
八条もかっては軍人であった。だからそうしたこともよくわかる。だからこそ頷かざるを得なかった。
「具体的には有事の際の先遣隊や後詰ですが」
「戦いの際にはなくてはならないものですね」
「そうですね。だからこそ彼等の訓練もかなり過酷なものとなるでしょう」
「それは教育総監のお仕事ですね」
「はい」
そこでソファに座っていた黒い肌に東南アジア系の顔をした男が声をあげた。連合軍教育総監ハイメ=ラビルヘン元帥である。コスタリカ軍の士官学校の校長を務めていた人物である。祖国では教育者として有名である。むしろそちらの方で名が知られている程だ。
「彼等の教育メニューは普通の将兵達とは異なるものになるでしょう」
「具体的にどういったものですか」
「まずは戦闘向けの訓練が多くなります」
八条の問いに答えた。
「そしてその内容もかなりハードなものに。彼等は常時戦闘態勢に置かれますからね」
「常時ですか」
「はい。何かあった場合はすぐに彼等が向かいます。今までの宇宙海賊達への対処もかなり楽になるかと思われます」
「そしてテロリストに対してもですね」
「はい」
ラビルヘンはまた頷いた。
「そうした対テロリストへの訓練も行っていかなくてはならないでしょう。既にそうした訓練メニューもスタッフに考えさせています」
「そして装備や補給はどうなりますか」
「補給は他の正規軍と同じでよいでしょう」
ラビルヘンと同じくソファーに座っていたコアトルが答えた。
「ただその装備は考えていなかくてはなりませんね」
「はい」
八
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ