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エターナルトラベラー
第七十九話
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んでもらってもよろしいですか?」

「あーちゃん、ちょっとー」

「何、母さん」

「甘粕さんが翠蓮さんに紹介してもらいたいんだって」

「ああ…分かったよ」

何故甘粕がそこまでしてワンクッション置きたがるのか。それは翠蓮の残虐な噂の所為だ。彼女のその噂にその声を聞いたのなら耳を削ぎ落とし、その姿を見たのなら目を潰すなどと言う物がある。普通なら冗談で済むのだが、相手が神殺し、カンピオーネともなると冗談では済まされなくなる。

アオは事情を察して甘粕を連れて翠蓮の所へと移動した。

「おや、どうしました、弟よ」

「翠蓮お姉さまに紹介しておきたい人が居てね。この国で厄介事に巻き込まれた時に頼ると事がスムーズに運ぶかもしれないから」

「ふむ…よろしいでしょう。普段ならこの羅濠の姿を見ただけでその目を抉り出している所ですが、宴会の席であり弟の紹介です。弟の顔を立てねばなりませんね」

「ありがとう、翠蓮お姉さま」

と、一応礼を言って後ろの人物を紹介するアオ。

「こちら、正史編纂委員会の甘粕冬馬さん。この国の魔術関連を取り仕切る組織に属しているらしいよ」

「そうですか。以後良きに計らう様に」

甘粕自身は一言も言葉を発さないままそのまま頭を下げる。

それで用は済んだと翠蓮はアオに酒の酌を頼み、甘粕を視界から追い出した。

それを察して甘粕もその場を辞す。

「ふう、心臓が止るほど緊張いたしました。かの御人と平然と会話が出来るのはやはりカンピオーネと言った所ですね」

と、ユカリの所まで戻った甘粕は死地から戻ったとばかりに安堵した。

「あら、大げさですよ」

「いえいえ、実際私はいつ殺されるかとビクビクしていましたよ」

「ふふっ…ああ、そう言えば、私も甘粕さんに一つお願いしたい事があります」

「何でしょうか?私の力が及ぶ限りでしたら何とかいたしましょう」

「そうですか?…では、一人分の戸籍を用意してください」

「戸籍…ですか?用意できない訳では有りませんが…どう言った事情でしょう?」

「えっと、あの子…アーシェラ、ちょっとこっちに来て」

ユカリはソラやシリカと一緒に居たアーシェラを呼びつける。

「む、何だ?」

呼ばれたアーシェラは不承不承を言った感じでユカリの所までやってくる。

「この子を家で預かる事になったのだけれど、少し事情がある子でね、まともな戸籍が欲しいのだけれど。何とかなりませんか?」

と、アーシェラを紹介するユカリ。

「ええと…こちらは?」

魔術師関連の人物で有るのだろうと甘粕も予想するが、まずはどう言う人物なのかと問いかけた。

「元神祖で今は私の使い魔なの」

「し、神祖!?」

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