暁 〜小説投稿サイト〜
チェネレントラ
第一幕その四
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
であるというのはわかります」
「どうしてですか?」
「その瞳です」
 従者はチェネレントラの瞳を見て語った。
「瞳が」
「そうです。私は師に言われました。人を見るにはその瞳を見よ、と」
「はい」
「貴女のその瞳はとても綺麗で澄んでいる。心根の汚い者はそんな瞳は持ってはいない」
「そうでしょうか」
「私はそうだと思います。ですから私は」
「私は」
 続きを語ろうとした。だがここでそれぞれの部屋から二人の姉達が出て来た。
「ねえチェネレントラ」
「ん!?」
 従者はそれを見て顔を上げた。そして二つの部屋をそれぞれ見た。
「ちょっと来て」
「こっちも」
「はい」
 チェネレントラはそれに従い部屋に向かった。一つが終わればもう一つに。まるで小間使いのようであった。
「ふむ」
 従者はそれを見ながら考えていた。その目はチェネレントラから離れることはない。
「あの瞳からは唯ならないものを感じる。何という美しい瞳か。そしてその姿も」
 粗末な服を着て汚れてはいるが彼にはしかと見えていた。彼女の美しさが。だからこそ彼女から目を離さないのであった。
「素晴らしい、何と素晴らしい娘なのだ。是非私の妻にしたい。しかし」
 彼はここで屋敷の中を見回した。
「マニフィコ男爵は何処だ。確かいる筈だが」
「従者殿が来られたようだな」
「はい」
 ここでマニフィコの部屋の奥から声がした。そしてチェネレントラに案内され彼が姿を現わした。二人の姉達はその後ろについた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ