第三幕その二
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第三幕その二
「黄金もあるな。メンドリにチョウザメにワインに絹にドーナツにパイに砂糖漬に金平糖に金貨に銀貨。もうたまりかねてこう叫ぶのだ。もう部屋に入りきらないから止めてくれ、一人にしてくれ、とな。それでもわしは一人にはなれない。いつも側に誰かがいてくれる。何とも楽しいことじゃないか」
「周りに人がいつも」
「何で嬉しいことなのかしら」
どうやらこの三人は意外と人間が好きなようである。根は寂しがりやなのだろうか。
「そう、人がいつも側におる。それだけで楽しいことじゃが」
「物が溢れご馳走まで」
「うっとりするわ」
「それも御前達次第じゃぞ。それでは」
「ええ」
「また化粧をなおさなくちゃ」
「髪もだぞ」
「わかってるわ」
「お任せあれ」
こうして娘達は部屋を出た。後にはマニフィコだけが残った。彼はまだ笑っていた。
「勝ったかのう」
暫くして彼も部屋を出た。後には何もなかったが取らぬ狸の皮算用だけが残っていた。その入れ替わりにラミーロ達が部屋に入って来た。
「それで」
「はい」
アリドーロが彼に応える。
「あの娘のことなのですが」
「殿下の仰りたいことはわかっておりますよ」
彼は笑顔でそう答えた。
「それなら話が早い。しかし問題があります」
「何でしょうか」
「ダンディーニのことですが」
「彼が一体」
「どうもあの娘に恋をしているようなのです」
「どうやらそのようですな」
それは彼にもわかっていたことであった。頷いた。
「先生もそれを察しておられましたか」
「はい」
また頷いた。
「何とかせねば、と思っていたところです」
「ふむ」
ラミーロもそれを聞いて頷いた。
「御考えがあるようですね」
「ええ、それは」
言おうとしたところで誰かが入って来た。
「殿下」
「ええ」
二人はそれを受けてカーテンの奥に隠れた。そして入って来た者達を見た。それはダンディーニとあの貴婦人であった。ラミーロはそれを見て顔を曇らせた。
「やはりな」
「殿下」
しかしここでアリドーロが彼を嗜めた。
「状況を見極めるのも手ですぞ」
「わかりました」
彼はそれに従うことにした。そして事の成り行きをカーテンの奥から見守ることにした。
ダンディーニはそれに気付いてはいない。貴婦人を熱い目で見ながら言葉をかけていた。
「どうかお受けになって頂けませんか」
「それは出来ません」
貴婦人は頑なな態度でそれを拒絶していた。
「申し訳ありませんが私にはそんな資格は」
「いえ」
だがそれでもダンディーニは引き下がらなかった。
「私はもう貴女しか目に入らないのです」
「しかし」
貴婦人はここでまた言葉を返した。
「私が他の方に恋をしているとしたら」
「うっ
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