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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第四話「急転」
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 お袋の元に駆け寄る萌香、俺もそちらに向かおうした、その時。


「――!? 兄さんっ!!」


 鈍い音を立てて、血塗れの手が俺の胸から飛び出した。


「……な、に……?」


 背後を見れば、そこには白い手を突き出した妹の姿があった。馬鹿な、回復するには早すぎる……!


「……兄さんの説明にヒントがあったのよ。妖力が乱れて使えないなら、自分で整えればいいんだって」


 ――なんて奴だ……。それで実行し、あまつさえ成功させるなんて。ああ、くそっ……。意識が霞んできた……。


 萌香が叫びながら走り寄ってくるのが辛うじて見えた。目を見開いたお袋が俺の名前を呟く姿が視界に映る。


 ――もっと皆と一緒に居たかった……亞愛と和解したかったなぁ……。


 今にも泣きそうな顔で表情を歪ませている亞愛が小さく呟いた。


「……さようなら、兄様」


 首を手刀で切断される。胴体から離れた首が床に落下した。


「千夜っ!」


「兄さん――――ッ!!」


 最後に聴こえたのは、愛しい家族たちの悲哀の叫びだった。


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