第十話 推理漫画その一
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推理漫画
「さて、と」
アンは今日も自分の机の上でネームを練っていた。新作のネームである。
「問題は主人公よね」
「そうね、どうするの?」
アシスタントのルビーも一緒である。なおルビーの漫画のアシスタントはアンが行っていたりする。
「ここは理知的なのを出したいわね」
「シャーロック=ホームズみたいなの?」
「それだとちょっとオーソドックスじゃないかしら」
それには少し否定的であった。
「もっとこう。風変わりな」
「最初の頃の明智小五郎なんてどうかしら」
「ううん、あれだとすぐに少年探偵団にいっちゃいそうね」
「じゃあそれも駄目ね」
「ええ。それだと」
「やっぱりここは俺達が出ないとな」
「そうね。真打ち登場ってところかしら」
「・・・・・・私、今回はシリアスでいきたいのだけれど」
冷静にテンボとジャッキーに返す。
「何、俺達の何処がシリアスじゃないんだ」
「あたし達は何時だって大真面目よ」
「大真面目なのはわかってるわ」
やはり冷静に返す。
「それでも。やっぱり」
「ぬうう、俺達を馬鹿にするのか!」
「あたし達の力は今まで何度も見せているのに!」
「それはわかってるけれど」
ルビーがやんわりとした声で述べる。
「けれど。探偵としては」
「侮辱だ!」
テンボは抗議を叫んだ。
「俺は現代のエルキュー=ポワロなんだぞ!」
「あたしは女版シャーロック=ホームズよ!それかハニー=ウェスト!」
「ハニーってお笑いだったっけ」
「シリアスよ」
アンはルビーに答えた。
「色気と強さを併せ持つ探偵よ」
「そうよね」
つまりジャッキーとは全然違う。ジャッキーは胸があって顔も中々だが頭がないのである。それも絶望的なまでに。学校の成績はテンボ共々あれである。
「じゃあ違うわよね」
「絶対にね」
「ちょっとテンボ」
ジャッキーはそれでも不満を述べる。
「どうする!?アンもルビーもあたし達の凄さがわかってないわよ」
「クッ、こうなったら」
テンボは何かを決めたようである。
「事件を解決してやる!行くぞジャッキー!」
「わかったわ!まずはそれであたし達の実力を!」
「再認識させてやる!じゃあ」
「いざ出発!」
そして教室から駆け出していった。なお今はまだ午前中で学校の授業はまだまだある。
「・・・・・・行ったわね」
「ええ、また急に」
アンとルビーは呆れた顔でそんな二人を見送っていた。
「授業どうするのかしら」
「さあ」
「さあって」
「どうにかするんじゃない?それとも学校さぼって遊んでるのがばれて補導されるか」
「どっちにしろ馬鹿じゃない」
「だってあの二人だから」
身も蓋もない言葉である。
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