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八条学園騒動記
第八話 お金がないのはその五
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「さてと」
 ペリーヌは安売りの店がさらに裏で仕入れてきたルーツはかなりとんでもない銀に近い白のドレスを着て待ち合わせ場所の駅前にいた。そこで腕時計を見ている。その外見だけ見ればかなり上品なお嬢様である。外見だけは。
「ベッカはまだかしら。そろそろだけれど」
「おおい、ペリーヌ」
「あっ、ベッカね」
「ああ、待ったかい?」
 そこに一人の少年がやって来た。
 黄色の髪に黒がかった鳶色の目をしている。背は普通より少し小さい位で元気がありそうな顔をしている。
 彼がそのベッカ、ベッカ=セリアラームである。ブルネイ出身である。
 見れば服も黄色である。しかもズボンは赤なのでかなり目立つ外見だ。しかも帽子と上着は青である。だが決して悪趣味に見えないのが不思議な着こなしであった。
「何処でその服見つけたの?」
「いや、安売りの店でね」
 ベッカは元気な声で答えた。
「見つけたんだけれどどうかな」
「そうね」
 ペリーヌはその質問に答えてきた。
「ぱっと見ると派手だけれど」
「うん」
「見慣れるとそうじゃないわね。似合ってるわ」
「有り難いね、そう言ってもらえると」
「それで全部で幾ら位なの?」
「一〇〇テラってところかな」
「帽子や靴を入れても?」
「それだと一二〇テラかな」
「それでも安いわね」
 ペリーヌも思わず感心する値段であった。
「何処にあるの?」
「うん、ここにあるの」
「この街に!?」
 これは気付かなかった。言われてはじめて驚きの声をあげる。
「そうだよ。今から行く?」
「そうね」
 話を聞く側から乗り気になっていた。
「悪くないかも・・・・・・っていうか行きたいわ」
「わかった。じゃあ今からそこに行こうよ」
「そうね。じゃあ私も」
「君は何処紹介してくれるの?」
「古本屋なんてどうかしら」
「古本屋なら僕も結構知ってるけれどいい?」
「ええ、いいわよ」
 ニコリと笑ってこう返す。
「そのお店かも知れないけれど」
「それはそれで一興だね。じゃあ行こうよ」
「ええ。けれど」
 笑いが苦笑いになった。
「何?」
「手、握るのはいいけれど」
「うん」
 見ればベッカはもうペリーヌの手を握っていた。彼女はそれはいいと言う。
「それでもね」
「ええと。痛い?」
「痛くはないわ。ただ」
「うん、ただ」
「強く引っ張られると。私足遅いし」
「あっそうか、御免」
 ベッカはそこまで言われてようやく気付いた。
「気付かなかったよ。痛かった?」
「だから痛くはないのよ」
 これは本当である。
「けれどゆっくりね。お願い出来るかしら」
「御免御免。じゃあ静かに行こう」
「ええ」
「お店は逃げないしね」
「けれど品物は買われてるかも」
「その時は
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