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八条学園騒動記
第一話 おっとり優等生そのニ
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「ほら、ロミオ君が今バイトしてるお店」
「そうきたか」
「これはまた」
「いや、あの」
 思わぬ切り返しにさしものフックもどう対処していいかわからない。
「そこで買うといいよ」
「いや、それは」
「駄目なの?」
 彰子はキョトンとした顔をしてフックに問う。
「ロミオ君も喜ぶよ」
「いや、そうじゃなくてさ」
「だって両手に花って」
「いや、あの、それは」
「勝負ありね」
 蝉玉は何を言っていいのかわからなくなってきたフックを見て言う。
「あそこから態勢整えられる奴はいないわ」
「まあそうだろうね」
 スターリングもそれに同意だった。
「ああなったらね。どんなプレイボーイでも」
「駄目ね」
「そうだね」
 二人の予想はフックにとっては残念なことに的中することになった。もっとも当のフックは二人の話には気付いてもいないのであるが。
「違うの?」
「ま、まあとにかくさ」
 形勢は最早挽回不可能、こうなってはどうしようもない。フックは撤退に取り掛かった。撤退こそが戦争においては最も難しい。しかし彼はそれを平然とやってのけたのであった。
「じゃあまた今度でさ」
「その時妹も呼ぶからね。それかロミオ君のお店行こうね」
「う、うん。そうだね」
 フックは意図せずしての激しい追撃戦を防ぎながら撤退していく。これはかなり困難な仕事だったが彼は何とかやってのけていた。これは見事であった。
「じゃあまたの機会にね」
「またね」
「予想通りね」
「あのフックでもやはり無理か」
 二人はそれを見て関心していた。
「しかしフックの撤退って見事だったね」
「まああいつはね。いつものことだから」
 学園きってのプレイボーイ。その彼がどうして一度や二度振られた位でへこたれるのか。そんな筈がないのだ。
「それにほら」
 彼は教室の外でまた何かしていた。
「他所のクラスの女の子に声かけてるし」
「男にはかけないんだね」
 この時代同性愛はごく普通だ。男同士も女同士も当たり前になっている。
「男の子なら中等部の子にかけてたよ」
「お見事」
 流石だ。そこにも抜かりがない。
「引っ掛けれたかどうかはわからないけど」
「まあ声をかけてもそんなには来ないって言うけれどね」
「あんたもそうだったしね」
「そうだっけ」
 しれっとしてとぼける。
「私と一緒になった時も」
「まああの時はね」
 蝉玉は二人が付き合ったきっかけの時を言っているのだ。
「けど私でよかったでしょ」
 そのうえで彼氏に対して言う。
「私みたいな可愛いい娘で」
「普通自分で言う?」
「言うわよ、だって自信あるから」
「やれやれ」
「彰子も美人なんだけどね」
 そう言いながらまた彰子を見る。
「けどねえ。あの鈍感さはど
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