第六話 赤い髪の漫画家さんその四
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「ちょっとしたコツよ」
「コツなのか!?こんなの撮るの」
「私を何処の国の人間だと思っているの?」
アンはいきなりとんでもない切り札を出してきた。
「イスラエルよ。こんなものは朝飯前よ」
「イスラエルってそんな国だっけ」
「少なくとも私は。漫画家になろうと思ったらこれ位はね」
どちらにしろアンが変な技術を身に着けているのは間違いがなかった。
「何かすっごい恐い話になりそうだけれど」
とりあえずアンがどんな漫画を描いているのか、本当のところが知りたくなった。
「まあいいや。それでさ」
「ええ」
「ルビーはどうしてるの?」
「普通よ」
アンは答えた。
「何処も変わりはないわ」
「そう、だったらいいけれど」
それを聞いてまずは安心する。
「今度あの娘にも声をかけてみよっかな」
「いいけれど。ただ」
「ただ?」
「泣かしたりしたら・・・・・・」
言葉に凄みが加わっていく。
「わかるわね」
得体の知れぬオーラがアンの全身を包む。圧倒的な迫力のオーラであった。
それはフックも感じていた。思わず言葉を失う。
「あ、あのさアン」
「わかったわね」
「あ、ああ」
「ルビーは友達だから」
その言葉に全てが集約されていた。
「泣いたりしたらね。私も」
「わかったよ、女の子を泣かせるのは俺の趣味じゃないしさ」
「だといいけれど」
「だからそんな恐いオーラ出さないでくれよ」
アンに必死に言う。
「こっちだって恐いんだから」
「わかったわ。じゃあ」
アンは気配を消してきた。
「これでいいわね」
「ああ。しかしさ」
「何?」
「前から聴きたかったことがあるんだ」
「何かしら」
「ギルバートのことだけど」
フックは尋ねる。
「何であんなにおちょくるんだ?よかったら教えてくれよ」
「面白いから」
表情を変えず答えた。
「それだけ!?」
「ええ」
「本当にそれだけなのか!?」
「他に何があるのかしら」
「いやそう言われると」
何と言っていいのかフックとしても困る。
「それだけなのかよ、本当に」
「何かあると思っていたの?」
「そりゃさ、やっぱり」
夕暮れの赤い、影が長くなっていく校舎の中で言う。
「その、御前がまさかあいつを」
「・・・・・・・・・」
これには答えず口の端の形を微かに変えただけであった。だがフックはそれに気付いた。
「!?まさか」
「どうかしら」
その形は元に戻った。ほんの一瞬のことであった。
「それじゃあ話は終わったわね」
「あ、ああ。まあな」
戸惑いながらそれに答える。
「それじゃあまた明日な」
「ええ、また明日」
二人は別れの挨拶をする。
「しかしまあお互い」
「何かしら」
アンはフッ
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