第六話 赤い髪の漫画家さんその二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「話はこれでいこうと思ってるんだけれど」
「いいんじゃない?」
「待て!話はまだ終わってはいない!」
「私はもう話すことはないわよ」
アンはしれっとして返す。
「それじゃ」
「うぬぬ!何か凄く馬鹿にされた気がする!」
「じゃなくてしてるわよね」
「まあそれは言わないでおこうよ」
トムにスターリングが言う。
「余計に話がこじれるからさ」
「それもそうか」
「まあいい。とにかくだ」
ギルバートは何の脈絡もなく立ち直った。
「マクレーン君」
「何?」
スターリングは急に話を振られてきょとんとした顔になった。
「前の日直日誌だが」
「何かミスがあった?」
「いや、流石だ」
ギルバートは人のいいところは素直に認められる男であった。単に暑苦しいだけで。
「細かいところまで丁寧に書いていたな。感心したよ」
「どうも有り難う」
「これがバリケシール君だったなら大変なことになっているのだ」
「あいつだったらアンネットのことばかり書いてるだろ」
「その通りだ。最早日誌ではない」
トムの言葉に応える。
「書き直してもらってもこれがまた」
「アンネットのことばかりなんだろうな」
「困ったことだ」
「それでギルバート」
「何だ?」
スターリングの言葉に顔を向けてきた。
「とりあえずさ、今日は日直はフックだし」
「彼か」
「まともに仕事しないと思うから。宜しく」
「全く。困った奴だ」
「おっ、アンちゃん」
丁度いいところにフックがやって来た。ふらふらとアンに近寄ってきた。
「漫画書いてるんだね」
「ネームよ」
フックが来ても微動だにしない。ネームに顔を向け続けている。
「まだペン入れとかはしていないわ」
「そうなんだ」
「そうよ」
味気ない返事であった。
「出来たら見せてあげるわ」
「頼むよ。じゃあさルビー」
「私なの?」
「そうさ。よかったら今日の放課後」
「わ、私はちょっと」
クラスきってのプレイボーイに声をかけられ焦っている。
「今日は」
「今日は今日はでいつもじゃない。今日こそは、だよ」
「け、けど」
「けどもこれもないからさ。どうかな」
「それは・・・・・・」
陥落しそうであった。だがその前にギルバートが動こうとしてきた。
「これは捨ててはおけない」
フックの方へ足を向けていた。当然彼を止めるつもりである。
「そもそも日直であることを忘れて。遊んでいるとは言語道断」
「つってもたかが日直だしな」
「ギルバートはそうは考えていないみたいだけれどね」
トムとスターリングが言い合う。
「ここは僕が」
だがそれより前に。アンが動いていた。
「今日は駄目」
「ルビーが?」
「私のネームを手伝ってくれるから」
感情の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ