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リリカルってなんですか?
A's編
第二十七話 裏 (はやて)
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の変哲もない日常だ。なぜなら、彼女には祝ってもらうべき両親もいなければ、兄弟も、姉妹も、友達でさえもいない。彼女が知っているのは本の中で行われる誕生日会だけだ。去年は、興味本位からケーキを用意して、クラッカーを用意して、一人ではっぴバースデーを歌ったりもしてみたが、虚しさがこみあげてくるだけであり、楽しいと思えるものではなかった。

 だから、明日は普段通り過ごそうと思いながら眠った六月三日の夜。彼女の何もない日常を変える出来事は、彼女の誕生日である六月四日の0時―――つまり、日付が変わった瞬間に起きた。

 はやてが眠るベット。その隣に設置された彼女のための机。棚には小物を入れる収納ボックスがあり、また本棚には、彼女のお気に入りの本を入れてる。その本の中、一つだけ異彩を放つ本があった。洋書のように見えるそれは、なぜか鎖で封がされており、黒っぽい表紙には剣十字が描かれている本である。時計の針が六月四日を示した瞬間、その本は勝手に宙に動き出す。手品とでも言われなければ、目を疑う光景だ。しかし、それを見ている人間は誰もいない。部屋に唯一いる人間である八神はやては夢の中である。

 そんなことは関係ないと言わんばかりに黒い本は、内部から膨れ始める。まるで、自らを縛る鎖を引きちぎるように開き始めた。内側の圧力に負けて、鎖がきしみ始める。やがて、鎖は内側からの圧力に負けてはじけ飛んだ。この時点で、黒い本から発する光によって起こされたのか、ようやく八神はやてが目を覚ました。目をこすりながらはやてが見たのは、宙に浮く洋書という現実を疑うような光景だ。

 人は、『未知』というものに対して、恐怖心を覚えるものである。あるいは、興奮かもしれない。しかしながら、後者は安全が確保されている場合に限り、一人で家にいるはやてからしてみれば、前者の感情しか浮かばなかった。彼女は、目が覚めたばかりというのに、不可解な現象に襲われ、本能から少しでも目の前の遠ざかろうと上半身の力だけでその小さな身体には大きすぎるベットの上を後ずさる。

 一方、鎖から解放された本は、パラパラパラとページを自動的にめくりはじめる。不思議なことにその本には、何も文字が書かれていなかった。そして、本が一言だけドイツ語で発する。

 『起動』という一言を。

 その直後、はやての胸から光か輝く雫のようなものが取り出され、本に取り込まれる。はやてから『何か』を取り込んだ本は、吸収した何かから活力を得たように突然、部屋全体を照らし出すように光りはじめた。瞬間的に強い光を発せられたため、はやては反射的に自らをかばうように手で目を覆って光を遮断する。本が光を発したのは、ほんの数秒だっただろう。光がやんだことを確認して、はやては、覆った手をはずす。

 一体、何が起きたのかわからないはやては、
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