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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (1)
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に……」
「と、とりあえず事情を聞いてくれ」
「弁解の余地なんかないって言ったはずよ!!」
そう叫んで、携帯電話をかざす。いいぞ、そのまま110番にダイヤルしてしまえ!!思わず握り締めた拳に、力がみなぎった。
「紺野さんが呼ばないなら、私が警察呼ぶから!」
「待てってば!!」
紺野さんが本の山を蹴り倒して、ダイヤルしようとした柚木の手首を掴んだ。
「…痛い」
目を見開いて顔を赤らめる柚木を引き寄せて、なんと奴は、優しく携帯電話をもぎ取った!そして耳元に顔を近づけると、囁くように言った。
「…少しでいいんだ、話を聞いてくれよ。警察の話は、それからでいいだろう」
柚木は頬を染めて視線をそらし、しおらしく頷いて髪をいじり始めた。

……バハムート、陥落………。

「……納得のいかない話を聞かされたら、速攻で警察呼ぶんだから!!」
せめてもの抵抗なのか、柚木は手首を乱暴に振りほどくと、腕を組んでドアにもたれた。このなんとも言えない痴話喧嘩風の空気の中、がっちり当事者のはずの僕が、一人蚊帳の外の気分を味わっている。……ここは本来、柚木のポジションじゃないのか。
「……なに見てんのよ!!」
目が合った瞬間柚木に噛みつかれ、慌てて逸らす。…僕が何をしたというのだ。紺野さんに手首を掴まれたのも、思わず顔を赤らめちゃったのも、そっちの事情じゃないか。僕に八つ当たりすることないだろう。理不尽だ、猛烈に腹が立つ!…と、ここで僕まで怒り出したら痴話喧嘩の三つ巴と化し、収拾がつかない修羅場の3丁目になることだろう。怒鳴りたいのをぐっとこらえて、エビアンを一口あおる。

「さて、まずは姶良と会った経緯からか…」
「その辺はいいから、飛ばして!」柚木が先を促した。
「飛ばすって…どの辺まで」
「姶良が知ってそうなあたりは全部飛ばして」
「…それじゃあ、全然イミわかんないぞ」
「わ、私は!…あいつらの素性と理由だけ分かればいいんだもん!」
ますます顔を赤らめて、柚木がついとそっぽをむいた。少しのあいだ、ぽかんとしていた紺野さんが、ふいににやりと笑った。
「…ま、そういうこともあるかもな」
…そういうことも、あるんだろうか。僕はむしろ、らしくないと感じたけど。
「じゃ、遠慮なく冒頭は端折るぞ。まず、俺の仕事から…だろうな」
紺野さんはベッドに深く腰を掛けて指の先を組み、僕らをじっと見つめた。その冷静な目つきと仕草は、なんというか、「社会人」を思わせた。…追い詰めているのはこっちのはずなのに、背筋に緊張が走った。バイトの面接みたいな気分だ。
「俺は、株式会社セキュアシステム・MOGMOG開発チームの主任を務めている」
…別段、驚きはしなかった。MOGMOG開発の関係者だということは知っている。開発チームのど真ん中にいるとは思ってなか
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