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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueV-T
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 学園に着いた瞬間────その異状は、あまりにも明らかだった。

「なんだこれ……結界か? それも普通じゃない…………」

 学園内だけが切り取られたかのように、完全に閉じている。
 まるで世界からこの場所だけが取り残されたかのように、独立した空間になってしまっていた。

 戸惑いつつも歩を進めながら、状況分析を始める。

(魔術的に外界と遮断している……少なくとも防衛が主目的じゃないな。となると、境界隔離による内部の隠蔽、もしくは結界内に入った生物からのライフドレインか?)

 発動段階には至っていないが、恐らく後二日もあれば結界は完成するだろう。

 誰がやったにしても、学園という場所に結界を張る意味が見出せない。

 最近町を包んでいる不穏な空気に関係あるのだろうか?
 凛が何らかの理由で、この結界を張ったのだとしたら?

 完成前に感づかれるような代物をアイツが張るとは思えないが……この規模の結界を張れる魔術師を、俺は凛以外に知らない。

 どうしたものか……と考え始めるが、現状で打てる手はほとんどなく、本格的に事を起こすなら凛にも話を聞いてからのほうが効率がいい。
 とりあえずは結界の基点か支点を見つけ、これがどういった類の結界かを解析するくらいしか出来ないか。

 この規模の結界が基点一つで支えられるわけもないので、学園を包む上で絶対に支点を置かなければならない場所…………つまり、屋上を目指す。





 そうして屋上に辿りつけば、結界の基点がどこにあるかは丸わかりだった。
 近くにいれば感じ取れるというのもあるが、それを差し引いてもこれは──────


「誰だよ、こんなモン仕掛けた奴…………かなり高度な結界だけど、仕掛け方が下手っつーか甘いっつーか。これを設置したのが凛って線はないな」

 魔術に於いて凛がこのような不手際を残すはずはない。
 この結界を張ったのが凛だったのなら話は早かったのだが、どうやら犯人は別の魔術師らしい。

 だがこの学園にいる者の中で、遠坂凛以外の魔術師は間桐桜しか知らない。
 しかし普段の立ち居振る舞いを見るに、彼女が高位の術者である可能性はほぼない。
 間桐がこんなことをするようにも思えないし、何より彼女にとっては何のメリットもないはずだ。

 つまりこれは、俺や凛が知らない魔術師の仕業。

 1年以上ここに通っているというのに発見できなかったのだ。どうやって潜んでいたのかは知らないが大した物である。
 結界のレベルだけで判断するのは早計かもしれないが、これまで発見されなかった事実も含めて、それなりの域にある魔術師だろう。

Decode(解読), Analyze(解析)……Interpret(解明)
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