第七十八話
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が再び現れると斉天大聖の姿は無く…」
結局羅濠教主の目論見どおりになってしまったのかと護堂は思った。
「そう言えば護堂。スサノオのミコトって倒されて無いわよね?」
「はぁ?何言ってるんだ。俺はさっきもそいつに会って来た所だぞ」
「そう、…そうよね」
「何か有ったのか?」
「いえ、何も無いわ。それより速く出ましょう」
と、護堂の背中を強引に押して洞窟を出るエリカ。
しかし、この光景を見ていた存在があった。
何処かの東屋の囲炉裏を囲い、盆に浮かべた水に映し出された護堂達を見ている存在。
「行かれるのですか?」
と、着物を着た女性が立ち上がった大男に問う。
「今なら出口が開きっぱなしだからな。簡単に出られるだろうよ」
「御老公の興味を引かれたのはやはり…」
「何を持ってあの嬢ちゃんがオレが倒されたのか聞いたのか。現世にオレの名をかたる奴が倒されたのか…もしかしたら神話が変わり、スサノオとして新生した存在が居たのかもしれんな」
かなり古い時代にまつろわぬ神として地上に顕現したスサノオは、暴れまわる事にも飽きたと、この幽世で隠居生活をしていたのだ。…先ほどエリカの不用意な一言を聞くまでは。
彼女の言ったスサノオが倒されたのかと言う言葉がスサノオの興味を激しく刺激したのだ。
そして思う。自身で行って確かめ、戦い、優劣をつけねばならぬと。
「そうですか」
「何、丁度退屈していた所だ。…それに、倒されたら倒されたで長く離れていた妻の所へと戻るだけだ」
「ご武運をお祈りしております」
「何、このオレがそうそう負けるはずはねぇよな」
と、まつろわぬ性を取り戻し始めたスサノオがニヤリと笑った。
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