暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫〜如水伝〜
六話
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いるといっても過言では無いでしょう。実際、いろんな伝手を使ったけども拝謁は適わなかったわ。」
「そうか、君の伝手と言うのは聞いてもいいのか?」
「ええ、まず、私の祖父が何代か前の大長秋だったの、それの縁を伝って、拝謁の為に働きかけたのだけど、それでも駄目だったから、腐れ縁の袁紹が都合よく都に居たからそいつを上手く使ってみたわ」
「袁紹といえばたしか桂花がかつて使えていた者だな、確か三公を輩出する名門の家柄だったはずだが」
「そうよ、袁紹本人については別の機会に話すとして、その袁家の名を使ってでも拝謁が叶わないとなれば、宮殿の奥に引きこもっているとしか考えられないわ」
「確かにそうだろうな、では、今現在、宮廷を取り仕切っているのはその近臣たちとして、それらはどのような者たちだ?」
「ほとんどが、金に目の眩んだ小物ね。朝廷の権威を利用して、地方の有力者から賄賂を受けて私腹を肥やすしか能の無い奴らだわ。当然、賊の跋扈や各地での重税に苦しむ民衆の声。今の世の現状を知る輩は一人も居ない。宮廷の要職は殆どそいつ等の類縁。まあ、だからこそ今回の上洛での私の任官もすんなり行った訳だけど」
吐き捨てる様に語った後、華琳は冷ややかにほくそ笑んだ
「私の知りうる限りだと、今の朝廷に絶望している民衆も少なくは無い。何かのきっかけがあればいずれ朝廷に反意を起こしても不思議ではない。もしそうなれば、今の朝廷では何も打つ手は無いだろうな。となれば各地の有力者に兵を出させる様に命が下るだろう」
そこまで言うと二人はお互いに考えている事がわかったのか急に笑い出した
「それこそが、この私が名を広めるに十分な条件ね」
「人の不幸で成り上がるか、ろくな死に方しないだろうな私達は」
「自分の死に様を今から考えても仕方が無いわ。そんなもの死の直前に考えなさい」
「だが、せめて君の領内では出さない様にしよう。少なくともそうなれば、兵を他の領内で動かす口実も出来るそれに、後日、後ろ指を刺されるような事は無いだろうからな」
「当然よ。私の領民からその様な者を出しては、誰が許そうとも、私が私自身を許せなくなるわ」
「その命に答えて私達も力を尽くしていこう」
その言葉を聞き、当然の様に思った華琳は、自分の目的には如水の存在が無くては為らないものと気づき。そして、この男が自分にとってどれほどかけがえの無い者だと気が付いてしまった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ