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八条学園騒動記
第三十五話 十三日の月曜日その一
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                   十三日の月曜日
「これはいけません」
 セーラは登校してきた洪童の顔を見るなりいきなり言ってきた。
「今日貴方の運勢は最悪です」
「最悪なのか」
「はい、百年に一度、一兆人に一人がなる確率の大凶です」
「・・・・・・何だよそれ」
 洪童はそれを聞いて思わず呟いた。
「滅茶苦茶な確率じゃねえかよ」
「私も見たのははじめてです」
 セーラも彼の顔をまじまじと眺めて述べる。
「これは酷い」
「酷いのかよ」
「はい」
 しかもそれを肯定する。
「これから貴方を恐ろしい災厄が襲い続けるでしょう、今日一日」
「一日中か」
「そうです。そしてそれは決して逃れられません」
 止めであった。かなりの運勢であるらしいことがそれでわかる。
「命に別状はありませんが」
「そうか、よかった」
「おい、洪童!」
 ここでフランツの声がした。
「んっ!?」
「よけろ、危ないぞ!」
「一体何なんだ・・・・・・ぐわっ!」
 こめかみに豪速球が直撃した。しかも硬球である。
「だから言ったのに」
「御前・・・・・・教室の中でボール投げるんじゃねえよ」 
 洪童は床に倒れこみながらフランツに文句を言う。目を回して鼻血を流している。
「いや、急にボールがすっぽ抜けてな」
 彼はそう説明する。
「それだけだったんだが」
「一六〇キロ出てたな」
 横にいたタムタムがそう述べる。
「高校生でここまで出せるのはいないな。それにノビも凄かった」
「よし、プロへの道がまた開けたか」
「何でいきなりすっぽ抜けが超高校生級のボールになるんだ?」
 洪童は立ち上がりながら述べる。何とか生きていた。
「不運です」
 それへのセーラの答えであった。
「そしてこれだけではありません」
「今の俺じゃなかったら死んでたぞ」
「はい。例えばですね」
「ああ」
「ねえねえ洪童」
 そこへアンジェレッタががやって来た。
「ん!?」
「高麗人参あるけれどどう?」
 そう言っていきなり瓶に入っている高麗人参を差し出してきた。かなり立派なものである。
「これ」
「くれるのか?」
「うん。ただでね」
「ただでかよ」
 洪童は韓国人である。言うまでもなく高麗人参は彼の国のものだ。だからこそ目の前のそれがどれだけいいものかがわかる。不運を跳ね飛ばす為にここは精をつけておこうとも思った。
「じゃあくれ」
「どうぞ」
 それを譲り受けてそのままかじっていく。ところが。
「ちょっと古いけれどね」
「古い?」
 全部食べたところでピタリと動きを止める。
「そうなの。それで熱してからって言おうと思ってたんだけれど」
「じゃあ」
「お腹に悪いわよ、そのままだと」
「つうとだ」
 洪童は今
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