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八条学園騒動記
第四話 自分達だけ名探偵そのニ

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「よし、謎は全て解けた!」
 いきなり叫びだす。
「犯人はわかったぞ!」
「いきなり!?」
「こんな展開は流石にないぞ」
 これにはアンネットもベンも流石に呆気にとられた。
「犯人は!」
 とんでもないオーバーアクションをしながらポージングを取る。その指先にいるのは。
「御前だ!」
「ちょっと待て」
 指差されたのはベンであった。これには皆も呆気にとられた。
「何で俺なんだよ」
「それは決まっている」
 テンボは自信に満ちた声で応えた。
「第一発見者だからだ」
「それが犯人になるのかよ」
「第一発見者を疑え」
 彼は誇らしげに言う。
「捜査の鉄則だな」
「御前疑ってもいないじゃねえかよ」
「天才には疑う時間なぞない!」
「天災の間違いよね」
 アンネットがそれに突っ込みを入れる。
「これで謎は全て解けた!犯人は御前だ!」
「そんなわけないでしょ」
 それにレミが突っ込みを入れる。
「むっ」
「さっきから見てたらよくもまあそんな思い切った推理しているわね」
「推理なのかしら、今の」
 アンネットの疑問は尽きない。
「そもそもベンが犯人のわけないでしょ。だって今学校がはじまったばかりよ」
「ああ」
 そう、まだ一時間目もまだだったのだ。いきなり濃い時間がはじまっているが。
「昨日はまだ花瓶あったし。昨日ベン休んでたでしょ」
「そうだったっけ」
「そうだったっけってあんた」
 テンボの言葉を聞いて呆れ顔になる。
「覚えてないの?」
「天才とは余計なことは記憶に留めないからな」
「そうそう」
 テンボの言葉にジャッキーが頷く。
「昨日のことは昨日のことを」
「だがベンは犯人でないのはわかった」
 それは流石に誰でもわかることであった。テンボとジャッキーであっても。
「済まないな。疑ってしまった」
「疑ってた!?今の」
「決め付けてたわよね、絶対」
 レミにアンネットが応える。しかしこれもテンボとジャッキーの耳には入らない。
「まあいいさ」
 ベンもいちいち二人のことには気を止めない。いつものことだからだ。
「だがこれで事件は振り出しに戻った」
「厄介なことになったわね」
 そもそも全然進んでもいないというのは考えてもいない。彼等の頭の中では話は進んでいるのだ。
「けれど事件を解く鍵はあるわ」
「ジャッキー、それは一体何だ?」
「これよ」
 ジャッキーが指差したのは花瓶が置かれていた棚だった。そこにあるというのだ。
「ここに鍵があるわ」
「鍵!?まさかそれは」
「ほら、これ」
 本当にそこから鍵を出してきた。見れば窓を閉める鍵である。

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