第二十九話 どちらが先にその二
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「気付いていないのって多分少ないわよ」
「私の予想だけれどね」
「ええ」
自分でそれを予想してきた。
「気付いていないのってフランツにテンボ、ジャッキー、カムイ、洪童ってとこかしら」
見事におつむが少々どころかかなり足りない面々とそうした話には縁のない面々である。予想というかこのクラスにいれば誰にもわかることであった。
「あと彰子ちゃんと管君?」
「彰子ちゃんもでしょうね」
ルビーは彼女のその言葉に頷いた。
「管君はそもそも何考えてるかわからないし」
「そうよね。そんなところかしら」
「あと本人」
ちらりとギルバートを見やる。やはりこちらの話には気付いていないようである。ルビーはそれをいいことにして話をさらに進めていく。
「ってとこね」
「彰子ちゃんってそういうところ疎いのよね」
「そうね。鉄壁なまでに鈍いわね」
それが彰子なのである。恋愛にはかなり疎い。そして本人はそれに一切気付いていないのだから余計に始末が悪いのである。顔がよくてもそうしたことに鋭いとは限らないのである。
「じゃあクラスの殆どが知ってるの」
「言わないだけでね」
「困ったわね」
「何を今更言ってるのよ」
ベッキーはまた突き放してみせた。
「だから言ったら?どうせだし」
「だからそれは」
顔は赤くなったままであった。それもギルバートに見えているが彼はどうして顔が赤いのか気付いてはいない。というよりはわかってもいない。
「無理だって言ってるじゃない」
「声のトーン抑えて」
ルビーはそれに注意する。
「聞こえるわよ」
「あっ、つい」
「気をつけてね」
「ええ。とにかくね」
彼女は言う。
「貴女が言えばすぐ終わるわよ」
「うう・・・・・・」
苦い顔をして沈黙してしまった。どうやら本当に出来ないらしい。
「だからそれはちょっとどころか大いに」
「仕方ないわね」
それを聞いてふう、と溜息をつくルビーであった。しかしそれでも言うのは友情であろうか。
「まあ普通は今までのであっちも気付いているんだけれど」
「気付いていないわよね」
「それもう答え出てるし」
「うう・・・・・・」
弱ってしまった。弱るしかなかった。
「そのままツンデレに専念してみたら?」
「勝手なこと言うわね」
口が尖りぶすっとしてしまった。
「確かに私素直じゃないけれど」
「まあ何処となく伝える方法だってあるし」
ルビーはアドバイスに移ってきた。
「さりげなくね」
「さりげなく!?」
何時の間にか止まっていたプロットの手が動きだした。
「そう、さりげなく」
ベッキーはまた述べる。
「方法は幾らでもあるじゃない。そうでしょ?」
「そうなのって、アン」
本当に普段とは様子が違うので何かルビー
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