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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第102話:エリーゼ・シュミット、退院す
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努めて明るい声で答えた俺に、姉ちゃんは少しうつむき加減で
小さくそう言った。





姉ちゃんを乗せて車で病院を出た俺達は、真っ直ぐ家に向かった。
玄関の前まで来ると、姉ちゃんはきょろきょろと家を見ていた。

「どうしたんだ、姉ちゃん?」

「ん? ちょっとね・・・」

姉ちゃんはそう言うと、庭の方をじっと見ていた。
そして、ゆっくりと口を開く。

「ホントに何年も眠ってたんだなって、実感したよ」

「今さら何言ってんだよ」

「だって、目が覚めてからはずっと病院だったでしょ。
 7年っていう時間の流れを実感できてなかったの。
 もちろん、お父さんやお母さんの姿を見て、年取ったなあって思ったし、
 ゲオルグだって見違えるほど大きくなった。
 でもね、この家を見てホントに長い間寝てたんだなって・・・」

姉ちゃんはそこで言葉を詰まらせた。
見ると姉ちゃんの肩がわずかに震えていた。
俺はその肩にそっと手を置く。

「お帰り、姉ちゃん」

「うん・・・」

姉ちゃんは俺の手に自分の手を重ね、小さく頷いた。

「2人とも、何やってるの? 寒いんだから早く入りなさい」

先に行き、玄関のドアを開けて待っている母さんが俺達の方を振り返って、
手招きをしていた。

「じゃあ行くぞ、姉ちゃん」

「うん。お願い」

姉ちゃんがそう言って頷くのを待って、俺は姉ちゃんを乗せた車いすを押し、
家の中に入るのだった。


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