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対決!!天本博士対クラウン
第六十話
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                  第六十話  博士の帰宅
 ゴッキローチを率いる博士と自衛隊の戦いはテレビで放送されていた。生放送であるのはその迫力は絶大なものであった。
「凄いなんてものじゃないわね」
「そうね」
 華奈子が美奈子の言葉に頷く。二人もその戦いを見ているのだ。
「戻って来たらいきなりこれなのね」
「相変わらずとんでもない博士ね」
 もう言わなくてもわかっていることであるが。それでもそれを再認識するのだった。
「あれゴキブリよね」
「ゴッキローチよ」
 美奈子が華奈子に説明する。
「今度発明した生物兵器らしいわよ」
「生物兵器ねえ」
 言うまでもなく国際法違反である。博士が守るつもりが最初から全くないだけだ。
「それで世の中を大混乱に陥れるつもりらしいわ」
「とんでもない話ね」
 とんでもないどころではないが。華奈子はかなり冷静であった。
「そのまま放っておくわけにはいかないわね」
「ええ。そろそろ私達にも声がかかるわ」
 美奈子は真剣な顔で言った。
「準備はいいわね」
「何なら今からでも」
 華奈子の顔が真剣なものになる。美奈子に比べて好戦的な彼女はもうやる気であった。
「何時でもいけるわよ、あたしは」
「ところがそうはいかないのよ」
 しかし美奈子はここでこう言うのだった。
「残念だけれどね」
「何で?」
「先生からいいって言葉がないと」
「あっ、そうか」
 そうなのだ。六人は先生から頼まれて博士と戦っているという形になっている。だから勝手に博士と戦うことはできないのである。そういうことなのだ。
「だからなのね」
「そういうこと。できるなら私も動きたいけれど」
「そうだったわね。じゃあ今は」
「とりあえず。見ていましょう」
 華奈子に対して言った。
「今はね」
「ええ。それにしても」
 華奈子はテレビを見て述べる。そこでは自衛隊と博士の死闘が行われていた。
「自衛隊の人達も大変ね」
「そうね。あのゴッキローチ」
 真夜中に真っ黒のゴッキローチが暴れ回っている。洒落にならない数だ。
「何匹いるのかしら」
「千はいるわよね」
 確実にそれだけはいた。空から陸から次々に湧いて出て来ている。
「あれって」
「何か自衛隊の人達が次々に」
「そうね」
 負けていっている。数と凶悪さに押し切られていた。
「くっ、総員撤退!」
「はははははははは!!天才は必ず勝つ!」
 テレビから博士の勝ち誇った声が響き渡る。
「では諸君!わしの帰宅を笑顔で迎え入れるのだ!」
「勝手なこと言ってるわね」
「相変わらずね」
 二人はそんな博士をテレビでクールに見ていた。博士の騒動がまた大きくなろうとしていた。


第六十話   完


      
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