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対決!!天本博士対クラウン
第百三話

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                第百三話  警察の苦悩
 六人がいない間。警察は警察で大弱りだった。それはやはり博士のせいであるのは言うまでもない。
「どうしたものかしらね」
「困ったものです」
 博士の研究所を管轄下にある署では署長が困った顔で話をしていた。あの自衛官の署長だ。
「あの博士の暴走は留まるところがありません」
「そうなのよね。もう暴走どころじゃないわ」
「はい」
 緑の制服の青年が署長の言葉に頷いている。彼も署長と同じ自衛官だ。
「暴走族やその辺りにいるチンピラや暴力団を片っ端からゴッキローチにしているそうね」
「それならまだ運がいい方で」
 ゴキブリの怪物にされるのはまだ運がいいのだった。
「下手をしたら生体実験に使われているとか」
「人権思想が本当にないのね」
「そんなものは最初からないようです」 
 青年はまた署長に対して答える。
「果たして生体実験に使われた者がどうなっているか」
「考えるだけで恐ろしいわね」
「殺人罪ですよね」
 青年はふとこう署長に述べた。
「やっぱり」
「今更だけれどね」
 署長もそれに応える。
「その他諸々の無数の罪状があるわよ」
「全部現行犯でもありますよね」
「容疑どころじゃないわね」
 刑法の点から見れば立派な犯罪者である博士だった。
「はっきり言わせてもらうけれど」
「すぐに踏み込んで逮捕は」
「それ各国の軍隊が集結してそれやったわよね」
「はい」
 それは記憶に新しいことだった。だから頷くしかなかった。
「ですが」
「そういうことよ。つまりは」
「誰も止められないんですね」
「カイザージョーなんてのも持ってるしね」
 あの巨大ロボである。
「自衛隊でも勝てないから」
「困ったことです」
 青年はあらためて溜息をついた。
「そんなのがいるとなると」
「あの女の子達がいましたね」
 青年は華奈子達のことを話に出してきた。
「今何処にいるのでしょうか」
「何でも神戸にいるらしいけれど」
 署長はぼやくように述べた。
「早く戻って来てくれないかしら」
「全くです」
 自衛官にしてはいささか頼りない言葉だった。
「さもないとこのまま」
「あの博士のやりたい放題よ」
 署長も溜息をつく。博士はその間にも怪しげな実験を行っていた。


第百三話   完


                 2008・4・28
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