暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第一話 水の少年その十五

[8]前話 [2]次話

 上城は朝食を食べ終えて。それからだった。
「じゃあ。今からね」
「歯は磨いていきなさいよ」
「うん、わかってるよ」
 こう母に応えながら席を立ち食器を洗い場に置いてだった。
 そのうえで歯を磨きに行きだった。
「今からね」
「行ってらっしゃい」
「車に気をつけてな」
 両親がこう言って我が子を送る。そしてだ。
 母は夫である相手にもだ。こう告げた。
「あなたもね」
「おっと、そうだな」
「そうよ。食べて歯を磨いてね」
「それで会社に行かないとな」
「そう。それからね」
「歯は磨かないとな」
「そう、まずは歯が大事よ」
 健康管理はそこからだというのだ。
「だからね」
「食べたら絶対に歯を磨くのか」
「食べた後が一番汚いから」
 それを磨いて。それからだというのだ。
「お口の中は奇麗にしないとね」
「そうだな。けれどな」
「けれど?」
「磨き過ぎても駄目だからな」
 それもだとだ。彼は自分の妻に笑いながら話した。
「そこも気をつけないとな」
「勿論よ。それもね」
 それはわかっているというのだ。
「けれどね」
「奇麗にするのは」
「それは忘れないことよ」
 このことはだ。くれぐれもというのだ。
「わかってくれるかしら」
「わかってるさ。じゃあな」
 こうした話をしてであった。
 彼は朝の団欒から学校に向かうのだった。彼の運命はまだ動いてはいなかった。それを知っている者も。今はここにはいなかった。


第一話   完


                2011・7・4
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ