暁 〜小説投稿サイト〜
その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第18話 猫神様と黒い魔法使い(2)
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ねぇ、純吾」

「アリサ、何?」

 呆れたと言わんばかりのアリサの様子に、純吾が不思議そうな眼を向ける。
 そんな純吾の視線を受けても元の表情を崩さないまま、彼女は続けた。

「確かに、あんたが用意してくれたお菓子おいしいわよ? 桃子さんの所に弟子入りして少ししか経ってないのに、これだけ作れたら大したものだわ。でも、でもね……」


 やおらと立ち上がる。
 そしてビッ、と机の上に置かれたお菓子の数々を指差し、大きな声でこう言った。

「どうして、なんか滑らかでプルプルしたものしか作れないのよ! おかしいでしょ「お菓子だけに?」 ちょっと! 茶々いれないでよ」

突然やんのやんのと言いあうアリサと純吾。彼女達の体面に座っていたすずかは、改めて机に広がる色とりどりのお菓子を見つめる。

「プリンにババロアにあとえっと……ういろう? 確かにプルプルしてるものばっかりだね」

「そうよ! いや、別に不満はないけど、あんた翠屋に料理習いに行ってるんじゃなかったの!? クッキーなりシュークリームなりもっと初めに作れるようになるものあるでしょう」

 すずかの援護も得て鼻息荒気に問い詰めるアリサ。それに対してちょっとばつが悪そうに、純吾は視線をそらしながら答えた。

「ん…。クッキー、焼いてたらいきなり弾けた」

「じゃ、じゃあシュークリームは? だって翠屋よ? 一番にそういうのを仕込まれたりするんじゃないの?」

 なおもアリサが食らいつく。それに対して、ニット帽をギュッと目深にかぶり更に視線を遠ざける純吾。
 少しの沈黙の後、ぽつりと彼は言った。

「……クリーム入れてたら、詰め込み過ぎて爆発した」

「爆発ネタか!」

 スッパァァァン! 
 いつかの昼休みの様な小気味よい音が、純吾の頭から部屋全体に響き渡った。





「……理不尽」

 そう頭を抑え涙目で自分を見上げてくる純吾に対し、アリサは顔を赤くしながら言い訳をする。

「うっ、だ、だって仕方ないじゃない。あんたの作る料理のレパートリーがあんまりにも変なんだもん」

「う〜ん。純吾君、どうしてかデザートなら茶碗蒸しみたいな食感のものしか作れないんだよねぇ。お料理はお味噌を使った物中心になっちゃうし。
……あっ、でも食材の飾り切りがすっごい上手なんだよ? この前夕食の時に、果物でお花作ってくれたし!」

 わたわたとすずかが必死のフォローに入るが、それは純吾の普段からの技術の偏りっぷりを証明するだけだった。
 再び呆れたという顔をして、アリサは隣に座る純吾にジトっとした目線を送る。

「名古屋ぽかったり、飾り切りが上手だったり……、あんたホント色々間違ってるわね」

「……どうも」

「褒
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ