暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第三話 元服その十三
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

「天下に名前を轟かせるには」
「ではいいのだな」
「はい」
 満足した笑みでの返事だった。
「ではこれよりは」
「そうだ、織田信長だ」
「この名前を必ず天下に轟かせましょう」
 こう父に答えるのだった。彼は本気で言っていた。
 そうしてそのうえで。周りにも告げた。
「我が名はこれより織田信長だ」
「信長様ですか」
「それが御名前なのですね」
「そうだ、覚えておくことだ」
 こう家臣達にも話す。
「この名前をな」
「わかりました。それでは」
「これからも宜しく御願いします」
「ではだ。まずはこの尾張だ」
 今彼等がいるその国のことだった。
「そしてそれからだ」
「それから、ですか」
「この尾張だけではなく、ですか」
「そうだ、見ておくのだ」
 信長となってだ。彼は何かを背負っていた。人の目では見ることはできないものだがそれでもだ。そこには確かに背負うものがあった。
「わしのこれからをな」
「それでは」
「我等も共に」
 吉法師は織田信長となった。この時彼は十四歳であった。そうしてこれが。彼のはじまりであった。


第三話   完


                  2010・7・28
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ