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戦国異伝
第十八話 道三の最期その五

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「あ奴は先陣におらぬしな」
「権六殿と共に第二陣におるな」
「そうよ。しかし権六殿が第二陣か」
 前田は今度はこのことをいぶかしむのだった。
「それで久助殿か」
「不服か?」
 こう返す滝川だった。
「わしが先陣で」
「いや、久助殿のことはわかっておる」
「わしもじゃ」
 前田だけでなく佐々も言ってきた。
「まさに先陣に相応しい」
「攻めるのが上手いしな」
「だがな。あの権六殿が先陣で共にいないのは」
「これがいささか違和感があってなのじゃ」
「そうだな。それはわしもだ」
 滝川自身もそうだというのだ。柴田が先陣にいないとどうにも落ち着かないというのであった。そして彼等はこんなことも話すのだった。
「何でも殿は先陣にされるおつもりだったそうだが」
「しかし権六殿は御自身から第二陣を願い出られた」
「して我等三人に任せてくれたが」
「そこにどういうお考えがあるかだな」
「しかも第二陣には」
「そうじゃな」
 ここで三人は第二陣についても話す。
「五郎左殿もおられるな」
「今や権六殿に比肩する将になられておるがな」
「権六殿に牛助殿」
 佐久間のことも忘れてはいなかった。むしろ忘れられる筈がなかった。
「そして五郎左殿に久助殿」
「戦でも殿が頼りにされるといえば」
 前田と佐々が話していく。
「そうよのう」
「この四人じゃな」
「生憎わしは殿軍は不得手じゃ」
 ここで滝川が自分のことを話した。
「どうも性に合わぬ」
「それで先陣はわかるが」
「権六殿がこの度先陣ではない」
「どういうことであろうかのう」
「権六殿の御考えは」
「それはあれでございますな」
 ここで出て来たのは木下秀長だった。彼も先陣にいるのである。
「おそらく次を考えられてです」
「次というと」
「この戦の次か」
「はい、おそらく次の戦はです」
 木下秀長のその目が光る。そうしての言葉だった。
「尾張で」
「勘十郎様か」
「あの方は」
「そうなるかと」
 それだというのだった。
「あの方が動かれます、間違いなく」
「怪しいしのう」
「それこそ兵をお渡しすればだな」
 前田と佐々もそれは読んでいた。近頃の信行の様子からだ。それでそのうえでだった。二人は言い争いを止めてそれ信行のことを話すのだった。
「今すぐにでもな」
「動かれるな」
「殿もじゃ」
 滝川もここで言う。
「それは読んでおられるからよ」
「ではこの戦の後はか」
「権六殿や新五郎殿を信行様に付けられ」
 兵を持っているその彼等をだというのだ。
「あえて動かせる」
「そうされるのか」
「しかしです」
 木下秀長はここで一言加えてきた。
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