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戦国異伝
第十一話 激戦川中島その一
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でこうなっておるのだぞ」
「いえ、それは」
「そのわしが。何故助からなければならぬのだ」
 これが彼の言葉だった。
「死して。最後まで戦い御館様に詫びるのだ」
「山本殿!」
 その彼にだ。幸村の怒った声が響いた。
「命を捨てることなぞ何時でもできますぞ!」
「むっ!?」
「御館様が目指されているのは何でありますか!」
「御館様が」
「それは天下ではありませぬか」
 それだというのである。
「そしてその天下を手に入れる為にはです」
「どうだというのじゃ」
「山本殿の御力が必要なのです」
 幸村の顔がここでだ。優しいものになった。戦場には相応しくないまでにだ。
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