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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十五話 届かなかった一歩
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剣一本あれば、何でもできると思っていた。
剣一本で、どこまででも行ける世界があった。
剣一本で、少年は世界の頂点の、その一角に、確かに立った。
データの剣を振りまわして、それによる力が本物だと錯覚し、物事を全てそれによって何とかできると思っていた。

傲慢にも程がある勘違いだ。何故なら彼のいる世界は1と0で出来たデータ集合体の世界でしかなく、本当の世界とはあらゆる事象によってそこに成り立つ世界なのだから。

結局のところ、最後には学ぶのだ。たかだか十六、七歳の小僧に、そんなことが出来るはずもなく、本当の力など、そんな物で手に入るわけもないと。

そうしてそれを学んだ時、少年は……

────

目の前に、求め続けた人が居た。
栗色の長い髪が美しく流れ、苦痛にゆがんではいても、しっかりとした光を持って輝く鳶色の瞳。
彼女を構成する全てが、驚くほどに美しく、そして彼にとっては愛おしい。

アスナは今や、キリトの目の前にいた。
否、数十秒前までは触れ合ってすらいたのだ。そう。数十秒前までは。

世界樹を埋めていた守護騎士を、多くの助けを持って突破したのち、製作者の悪意あるプロテクトコードすらアスナの落としたカードキーを持って突破し、リーファの言っていた空中都市など無い……全てが虚実であった事を正面から表すような無機質なオフィスじみた廊下を歩ききった後、キリトはついにアスナとの再会を果たした。
しかし久々に再開した家族三人で抱き合い、喜びを噛みしめ、いよいよ脱出しようとした直後、突如彼等の周囲はリアルブラックの空間に包まれ、彼らの間に包み込まれるように抱かれていたユイは紫電と共に消えてしまった。

空間に飲み込まれたキリト達は、かばい合うように互いに手を互いへと伸ばす。
しかし二人の手が触れそうになった瞬間、強烈な重力がアスナとキリトの体を襲い、耐えきれずに二人は両手を引っ込めて、膝を降り、地面に手をついた。それはまるで……王を出迎えるために跪く臣下のように。

「キリト……くん……」
「だい……」
大丈夫だと。自分が必ず守ると、そうキリトが伝えようとした、その時だった。

「ヒィヤハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
粘つくような、そしてひきつったように高い音程の笑い声が、空間に響く。

「いやぁ、どうかなお二人とも、この魔法は。次のアップデートで導入される予定なんだけどねぇ……少々威力が高すぎるかな?」
からかうような、嫌に粘り気のある声。その声の主を、キリトは知っていた。

「須郷……!」
立ち上がろうとしてもがきながら、キリトは精いっぱいの力で怒鳴る。しかし動く事はかなわず、返ってきたのは馬鹿にするような声だ。

「んー、チッチッチッ……全く、君は分かってないねぇ。この世界でその名
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