第二十三話 甲冑乙女その三
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「よく行ったわ。けれどね」
「けれど?」
「泳いだことは殆どなかったわね」
「何でですか?」
「写真に撮られてばかりで」
それでだというのだ。
「泳ぐことはなかったわ」
「そうなんですか」
「ええ、多分それは」
「ええ、そうよ」
ここでだ。マサムネもひょっこりとだ。ヒデヨシの横に出て来た。
そしてそのうえでだ。三輪の言葉に応えてきたのである。
「私にしてもそれは同じでね」
「色々とあるわよね」
「本当にね。何かとね」
こう二人で話すのだった。
「海に出ても泳げなくて」
「写真に撮られてばかりになって」
「それが仕事だから何も言うことができなくて」
「中には派手な水着もあったりしてね」
「困るのよね」
こんな話をする二人だった。そしてだ。
そんな彼女達の話を聞いてだ。ヒデヨシは首を右に捻り微妙な顔になり言うのだった。
「あれっ、先生ってグラビアとかの御仕事も?」
「それに三輪さんって確か」
光は三輪をいぶかしむ目で見て言う。
「前の御仕事はOLだったんじゃ」
「それでどうしてグラビアを?」
「アルバイトとかで、ですか?」
「まあその辺りはね」
「色々とあるのよ」
三輪とマサムネは少しバツの悪い顔になって返す。
「あれで重要なお仕事だから」
「色々とやったわ」
「先生って何かあれですよね」
ヒデヨシはそのマサムネを見つつまた言った。
「カメレオンになったり博物館の人になったりですよね」
「アルバイトは一杯したわ」
「前にはマクドナルドにもおられたとか」
「ええ、学生時代にアルバイトしてたのよ」
「そんなに大変だったんですか?昔は」
「ええと。実家は大きなお家だけれど」
それでもだというのだ。伊達家はヒデヨシ達の世界でも大名の家で華族でもあった。だがそれでもだったのだ。
「学生時代は頑張ったのよ」
「仙台から出て来て大変だったんですね」
「まあ一番困ったのは食べものだけれど」
「お口に合わなかったんですか」
「御味噌が特にね」
こうした話もする彼女達だ。そんな話をしながらだ。
五人で湖を見ていく。その中でだ。
ふとだ。霧島がだ。琵琶湖の先の陸地にだ。
あるものを見た。そして仲間達に言ったのである。
「あれは」
「あれは?」
「あの社は何かしら」
対岸にだ。社を見たのだ。
「急に出て来たけれど」
「あっ、そういえばですね」
「見えるわね」
光と三輪もだ。その社を確認した。そのうえで言うのだった。
「ここから見えるということはかなり大きな社ですね」
「あれだけ大きな社は滅多にないわね」
「どの神社でしょうか」
「かなり大きな神社なのはわかるけれど」
「あれっ?」
光と三輪の話を聞いてだ。ヒデヨシはだ。
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