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万華鏡
第五話 豚骨ラーメンその四

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「休日はいつもいないんだよ」
「遊びに出てるの?」
「いや、バイト」
 それでいないというのだ。
「それに出てるんだよ」
「だからいないの」
「大学が終わったらいつもバイトに行ってさ」
 そして休日もだというのだ。
「勤労青年やってんだよ」
「いいお兄さんなのね」
「まあ。悪い人じゃないな」
 美優は笑ってこう述べる。述べながら。
 キッチンの鍋を見る。それは店にある様な大きな鍋だった。そこからぐつぐつという音と湯気が見える。それを見てだ。
 美優は微笑んでだ。こう四人に言った。
「今だし取ってるところだからな」
「じゃあ後はそこにお野菜入れて」
「それでアクを取って」
「チャーシューも切ってね」
「そうしていくのね」
「ああ、そうしてな」
 美優はその微笑みで四人に話す。
「それから麺を茹でてな」
「ラーメンの完成ね」
「食べられるのね
「いや、それ結構先だからさ」
 今ではないというのだ。
「ちょっと待ってくれよ」
「どれ位かかるの?」
「野菜を入れてな」 
 それからだというのだ。
「それから二時間、いや三時間茹でるか」
「それからなの」
「ああ、それからだからな」
 どちらにしてもまだ茹でるというのだ。豚骨を。
「じっくりだしを取らないと美味くないからな」
「本格的ね」
 そうした話を聞いてだ。景子は笑って言った。
「流石ね」
「褒めたって何も出ないぜ」
「ああ、いいわよ」
 そうでもいいというのだった。
「本当のことを言っただけだから」
「だからかよ」
「何かを出す為に言ったわけでもないし」
「ふうん、成程な」
「そう。じゃあ待つ間は」
 スープが出来るまでの間はだというのだ。
「ゲームでもしない?」
「ゲーム?」
「ゲームっていうと」
「だから。任天堂なりソニーでね」
 そうした企業のゲームをだというのだ。
「時間潰さない?」
「そうね。それじゃあね」
 景子が最初に琴乃のその考えに賛同して言う。
「アイスでも食べながら」
「ああ、アイスならあるからな」
 美優が二人に言ってくる。
「好きなだけ食べなよ」
「用意がいいわね」
「アイスとか好きなんだよ」
「それでなの」
「ハーゲンダッツとか好きなんだよな」
 美優は景子達に自分のアイスの好みも話す。
「それでたっぷり用意してるからさ」
「じゃあ今は」
「まあとにかくゲームもあるから」
 それもあるというのだ。
「好きなのやりなよ。恋愛育成ゲームが多いぜ」
「えっ、恋愛!?」
「恋愛育成ゲーム!?」
「美優ちゃんが!?」
 四人は美優の今の言葉に目を丸くさせてこう言った。信じられないといった顔で。
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