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万華鏡
第三話 部活その九
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「もうね」
「軽音楽部っていうとバンドだよな」
「そうよ。もうグループも決まったから」
「何か随分変わったよな、姉ちゃんも」
「変わった?私が?」
「ああ、変わったよ」 
 弟はこう姉に対して言う。
「中学の時なんてバスケだけしか考えてなかったのにな」
「それが軽音になったって?」
「本当に変わったよな」
「変わったってバスケがバンドになっただけじゃない」
 琴乃は首を少し捻ってから弟に返した。
「全然変わらないじゃない」
「いや、バスケがバンドになったっていうのがさ」
「同じよ。こっちも熱中するから」
 琴乃はギターの指を動かしながらさらに言う。
「変わらないから」
「そういう意味で変わらないっていうんだな」
「ええ、私はね」
 こう言ってだ。そしてだった。
 琴乃はギターの手を動かし続ける。それが今の彼女だった。
 その姉を見てだ。弟はこう告げた。
「じゃあそっちもな」
「頑張れっていうのね」
「怪我とかするなよな。バンドも激しい動きするだろ」
「うん、トレーニングとかもしてるから」 
 それこそ運動部並にだ。そうするのが八条学園の軽音楽部なのだ。
「ちゃんとね」
「何か大変な部活だな」
「大変だけれど面白いのよ」
 琴乃はにこにことして弟に話す。
「これがね」
「まあ楽しいんなら俺はいいけれどさ」
「そういうことでね。それじゃあね」
「飯の時間になったら来いよ」
「今日の晩御飯何なの?」
「ムニエルだってさ。鱈のな」
「あっ、ムニエルなの」
 ムニエルと聞いてだ。琴乃はすぐに顔を晴れやかなものにさせた。ギターを動かす手も止まった。一瞬ではあるが。
「それはいいわね」
「姉ちゃんムニエル好きだからな」
「お魚大好きだからね」
「だよな。後ポテトサラダな、ジャガイモの」
「さらにいいわね」
 琴乃の顔がさらに晴れやかなものになる。それも彼女の好物なのだ。
「お魚にジャガイモって」
「姉ちゃん本当にジャガイモ好きだよな」
「ジャガイモ美味しいじゃない」
 こう返す琴乃だった。
「だからね」
「それでか」
「そう。ジャガイモも食べるから」
 琴乃はギターをまた動かしながら弟に話す。
「元気が出て来たわ」
「じゃあ俺ゲームしてるから、自分の部屋で」
「何のゲームするの?」
「野球ゲームだよ。ほら、あの」
「実況ね」
「あれやってんだよ」
「あんたあのシリーズ好きね」
 琴乃は弟のゲームの趣味を知っていた。彼は野球ゲームが好きでその中でもそのゲームが一番好きなのだ。
 それでだ。こう姉に言うのあった。
「好きだよ。あのゲームじゃ阪神もな」
「優勝できるからね」
「姉ちゃんもやってみろよ。本当に阪神でも最強のチームになるからな」
「阪
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