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八条学園怪異譚
プレリュードその十一
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「それもなの」
「ああ。他にも勉強ができたりできなかったりな」
「それもなの?」
「それぞれだからな」
 こうだ。お父さんは前を向きながら娘に話した。
「可愛いとか奇麗とかもな」
「それぞれなの」
「そうだ。そして人はその人にいいところがあればな」
 その時はどうするべきかもだ。お父さんは愛実、自分の末娘に話した。
「それを認めないといけないぞ」
「そうするべきなの」
「そうだぞ。ちゃんと認めてな」
 そしてだというのだった。
「そのことを妬んだりしたら駄目なんだ」
「羨んだりすることは?」
「それ位なら自分もそうなろうと思って努力するんだ」
「そうしてその人みたいになるのがいいのね」
「妬んでいるだけじゃな」
 どうなるかということもだ。お父さんは話した。
「駄目な人間になってしまうぞ」
「そうなるの?」
「妬んでそれで前に進まないでその人に嫌がらせなんかしたらな」
 まさにだ。そうすればだというのだ。
「悪い人間になってしまうからな」
「だから絶対にしたら駄目なのね」
「そうだ。妬んだら駄目だぞ」
「うん。羨ましいと思って」
「そこから悪くなったのが妬みなんだ」
 こう話すのだった。
「そしてそれは絶対に持ったら駄目なんだ」
「そうなの」
「人の心は奇麗にもなれば醜くもなるんだ」
 お父さんはあえてだった。愛実がまだわからない、小さいからそうなることを述べた。
「いい感情を持てば奇麗になるんだ」
「それで悪い心を持てば?」
「醜くなるんだ」
 こう愛実に言うのだった。
「そしてその中でもな」
「人を妬むと?」
「一番醜くなりやすいんだ」
 遠い、そして悲しい目になっての言葉だった。
「人間ってのはな」
「そうなの」
「他の人のいいことやよかったことを素直に喜べなくて」
 そしてだというのだ。
「自分が努力しないで悪く思うとな」
「それがよくないのね」
「ああ。そこで自分もよくなろうと思うのはいいんだ」
 その場合はだというのだ。
「けれど。そこから人を悪く言ったり悪いことをすると」
「悪い娘になるのね」
「愛実は悪い娘になりたいのかな」
「ううん」
 お父さんの問いにだ。愛実は首を横に振って答えた。
「そんなの絶対に嫌。私悪い娘になりたくないよ」
「そうだよな。絶対にな」
「うん。私絶対に嫌」
 愛実は目を曇らせてお父さんに答える。
「悪い娘になんかなりたくない」
「そうよな。じゃあ人を妬むんじゃないぞ」
「うん。そうするね」
「誰を妬んでもいけないけれど」
 お父さんは愛実が答えたのを聞いてからさらに言った、愛実の心に自分の言葉が残ったと思ってだ。理解できなくても今はそれでいいと思ったのだ。
 そのうえでだ。こうも言ったので
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