第一章 グレンダン編
天剣授受者
日常とは常に面白いものである
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て口を魚のようにパクパクと開閉する。
その日、シノーラは久方ぶりに叫び声を上げた。
ガタガタとシキとレイフォンは道場で震えていた。
相手は錬金鋼が効かない強敵。友軍はシキやレイフォンや少数の子供達。どうあがいても絶望しかない。二人は指を動かし、なんとか撃退しようとするが如何せん、頭の内部に答えが存在しない。
投了? んなことすれば、姉さんにぬっころされるわと、先日、錬金鋼をぶっ壊したことがバレたシキは証言する。
なんとかこの強敵を倒そうとシキとレイフォンはお互いの頭で考えるが、答えがでずに絶望する。そこで普段は使わない上目遣いを敢行するがニッコリと笑う年上の姉、その手には……勉強道具が握られていた。
「さて、シキとレイフォン? もう一回」
「「イヤァああああああああっ!?」」
強大な武芸者に叫び声を上げる。数々の汚染獣を屠ってきた二人が高々、勉強でこんな声を上げるなど信じがたい光景だが、二人共勉強が大の苦手なのだ。
今までは武芸一筋でも見逃されてきたが、もうレイフォンもシキも十歳になった。そろそろ将来を考えて勉強をしなければならない年頃である。
駄菓子菓子、いやだがしかし、シキもレイフォンも勉強は大の苦手である。現にシキは早々と使えない頭がオーバーヒートして突っ伏してる状態であり、まだ頭を上げながら暗いオーラを出しているレイフォンの方がマシである。リーリンは優秀な成績を収めており、将来を楽しみにされている。
「や、やってられっかぁああああああっ!!」
遂に、というかシキが大声で叫び、ダッシュで道場から逃げ出した。レイフォンも耐え切れなくなったのか、立ち上がり後を追うとするがリーリンに首根っこを掴まれ、敢無く御用。逃げ出したシキへの恨みが効いたレイフォンの叫び声が都市に響き渡った。
「そんな理由で俺の部屋に来たと?」
「匿ってくれよ、リンテンス師匠」
「帰れ、馬鹿弟子」
問答無用で泣きつくシキを切り捨てたのは、ソファーに寝転がりながら煙草を吸っている中年男性であった。
気力のない不機嫌な瞳、伸ばし放題のボサボサの髪、剃っていないのか無精髭が顎を覆っている。
この男こそ、天剣授受者で最強と言われる実力者、リンテンス・サーヴォレイト・ハーデン。一応がつくがシキの師でもある。
「ぐっ、やっぱり師匠よりもカナリスさんのところに行くべきだったか」
「20秒前にも言ったが帰れ、馬鹿弟子」
「いやだね……てか、部屋が掃除しなよ」
「……物好きな奴が勝手にやってくれるさ」
リンテンスは煙草を取り替えながらそう言う。不思議なことにリンテンスはライターを使わずに煙草に火をつけた。
「掃除……いやいや、これただ掃除機かけただけで満足してるだろ」
シキはため息をつきながら掃除の後を
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