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FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
第十四話 食事会という名の交流会にて
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うちに打ち払われた。


――――咆哮


 耳を劈く、人間の声量では出せないような悪魔を声がこの場に響き渡る。ただそれは魔力も何も含まれていないただの咆哮。ただそれだけで数百の飛翔するかのように飛んできた魔法を打ち消した。悪魔の叫びのように聴こえたその咆哮は地割れを引き起こしルシア殿の付近にいた者たちは文字通り天を舞った。

「……ありえん」

 ゴールドマイン殿が目を丸くしながら言った一言はよくわかる。一つ一つの魔法は大したモノではないが、何百という魔法が一斉に向けられたのならばそれは脅威だ。それを回避するにしろ防御するにしろルシア殿のレベルならばやってのけるとは思っていたが、その方法がただの咆哮など予想もつかない。

 さすが、フェアリーテイルの悪魔と呼ばれることだけのことはあるし、マカロフ殿が自慢げにしていたのもよくわかる。隣にいるそのマカロフ殿の顔を窺うと……

「嘘じゃろ……」

 ……驚愕していた。驚きすぎて顎が外れてしまっているが大丈夫だろうか。どうやらマカロフ殿も予想外の出来事だったようだ。再び戦場に目を向けるとそこには悪鬼羅刹が暴れていた。

 一振りすれば何十人と人が飛び、大地を踏めば地響きが起きる。まるで闘争心以外の心を封じてしまったかのように、周囲にいる人間達を罰する悪魔のようだ。
 甘く見ていた。正直彼と戦闘になったとしても私の方が分があると思っていたがとんでもない。もしあのルシア殿と対峙しているのが自分であったのならばと想像するだけでも身震いがする。何より戦闘中あれだけの威圧と殺気を浴び続けなければいけないというのが精神的に堪えるだろう。これほどの者とは……私もまだまだということか。

 気がつけば何百人いた闇ギルド達が死屍累々としていた。よく観察すると誰も死んでいない。……がしかし皆かなりの重症だ。山のように積み重なった人間達による山の頂に立っていたのはまぎれもなく金髪の悪魔。この通り名は誇張でも何でもない。ただの事実だということをこの場にいる全員が理解しただろう。


 フェアリーテイルの金髪の悪魔、ルシア・レアグローブの名は今回の一件で今まで以上に有名になるだろう。少なくともこの会場にいる全てのギルドが彼に一目を置いたことは間違いない。いずれは彼と共に戦える日がくればいいと思い、それ以上に彼と戦える日がくればいいとも思っている自分に驚く。……倫理や規律を何よりも重んじる人物と呼ばれるこの私がまさか戦いたい欲求がここまであるとは。これでまた一つ己を知り、強くなった気がする。

「いずれ、必ず」

 あの時のルシア殿の好戦的な視線に答えるとしよう。

だが今はまだ修行あるのみ。私は騒がしくなった会場の中で一人そう決意した。



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