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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十話 地底氷河と邪神水母
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その場所は、氷と雪に全てが閉ざされていた。上を見上げると、遥か高い高い位置に、キラキラと光る物が有る。星ではなく、氷。天井のつららが、内側から青白く光り輝き、地底に広がるその世界を明るいと感じられる程度には照らしてくれている。
現在地は、簡単に言うととても巨大な洞窟だった。……否。最早地底世界と言うべきか。
徘徊するのは妖精たちの四倍以上の背丈を誇る、超巨大モンスター。《邪神》。
直径約30キロ、天井までの高さは500メートルを超える、超巨大地下空間。アルヴヘイムの地下に広がる最高難易度エリア。その名を……《ヨツンヘイム》

────

「ぶえーっくしょい!!」
「うおっ!?ば、バカ、声……!」
「あっ……!」
 女性としてそれはどうなんだ、と言うような強烈なくしゃみをしたリーファは、リョウに言われて慌てて口を押さえる。
そして、二人同時に洞窟の入口を覗き込み、先程のリーファのくしゃみに気付いた邪神がぬっと洞窟の入口から顔をのぞかせやしないか窺う……が、幸いにも、入ってきたのは冷たい空気と、地下なのになぜが降り注ぐ外の雪だけだった。

 リョウ達は今、広大な地下世界内にある、縦横四メートル程度の小さな祠で、焚火を囲んで暖を取っていた。何やら古代の怪物のようなものが書かれたレリーフが有り、焚火の不安定な光によってゆらゆらと揺れている。そんな中を、リョウの吐き出した薄緑色の煙が行き過ぎ、再びミントの香りが辺りを包んだ。

「おーい、寝るなー起きろー」
 ふぅ〜。と一服やりながら天井を眺めていたリョウが、リーファの声がした方をふと見やると、彼女はむにゃむにゃと今にも寝そうに……と言うか半分寝ているだろう同行者の少年を起こそうと、その尖った耳をくいくいと引っ張っている。ちなみにユイはと言うと、キリトの膝の上でこれまたくうくうと小さな寝息を立てている。

「ほーらー、寝ると落ち(ログアウト)ちゃうよー」
 言いながらリーファが更に耳を引っ張る……と、脱力したキリトの体がスッと傾き……そのままコテンッ。と、リーファの膝の上に頭を着地させた。所謂膝枕だ。
「んむぅ」とか言いながらコロコロと動いたキリトの頭が何処に触ったのか、リーファが急に「ひゃっ!」と言いながら背筋を引きのばした。咥えた煙草を口から離しつつ、リョウは笑う。

「ははは、ラッキースケベって所か?我が弟ながらやりおる」
「何馬鹿なこと言ってんのよ……笑ってないでリョウも起こすの手伝いなさいよもう……」
「一発殴ってやれ。それで起きる」
「あ、成程」
 納得したように掌の上で拳をポンっと叩いたリーファは即座に拳を振り上げると……
ディキシッ!と言う打撃特有の効果音と、黄色いエフェクトと共に、キリトに拳を直撃させた。

「へぶっ!」
 妙な声と共にリーフ
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