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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十話 地底氷河と邪神水母
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ラムID[MHCP001]をプレイヤーID[Kirito]の、ナーヴギアローカルメモリへ転送しろ」と言うような内容の命令を、カーディナル内部に割り込ませて居たからだ。カーディナルは自身のバグには強い設計のプログラムだが、GMとしての権限を使用した人間側からの直接命令として打ち込めば、元来プログラムである彼は素直に従ってくれた。そしてその時が、リョウが冷裂をカーディナルから奪う唯一のチャンスだったと言って良い。リョウはユイに関する一連の命令を組んだ後間髪入れずに、冷裂の方にも近い内容の命令文を組んでいたのである。唯一違ったのは、転送先がリョウコウであったと言うだけ。早めに気付いたリョウの行動の速さが生んだ時間的余裕の成せた技であった。
 要は、いい加減カーディナルにもうんざりしていたリョウが起こした、茅場へのちょっとした反抗である。まぁ……

「それが後々此処まで役に立つとか思って無かったがな……」
 取り留めも無く、そんな事を考えていた……その時だった。

「お、叔父さん……パパとリーファさんが……!」
「ん?」
 不意に、ユイの小さな声が耳元で響いた。何故かオロオロしているように聞こえる。と……

「じゃあ君は、私が此処まで嫌々付き合ってきたって、そう思ってるの?」
 それまで聞いて居なかったリーファの声が何故か泣きそうに震えた調子で聞こえて来る。
先程まで二人で脱出の方法を練っていた筈なのだが……

「ちょ、なんで喧嘩腰なんだユイ坊……」
「ぱ、パパが、リーファさんは学生だし、もう落ちた方が良いって言って、そしたらリーファさん急に……」
 いまだにおろおろした顔で言うユイの言葉を聴いているうちに、リーファは更に言葉を続けてしまう。しかも祠の出口を向いて、立ち上がっている。

「あたし……、今日の冒険、ALOに来てから一番楽しかった。ドキドキ、ワクワクする事沢山あったよ。だから、キリト君や、リョウのおかげで、この世界がもう一つの現実なんだって、やっと信じられる気がしてたのに……!」
「ちょ……と、まてまてまて!」
 言ってから祠の外へ飛び出そうとしたリーファの細腕を、リョウはあわてて掴み、引きとめる。それに対して振り向いたリーファが何かを言おうと口を開いた……その時だった。

 ズズンッ!と言う重々しく、地面を揺るがすような音と振動が、祠の中を駆け抜け、直後、雷鳴を思わせる低い咆哮が、ごく近くから降り注いできた。おそらくは、自分の声が呼び寄せたのだろうと思ったらしいリーファが、腕を振りほどこうと暴れ出すが、しかしリョウは離さない。がっちりと腕をダメージを与えない程度に握り、その腕は一寸も動きそうにない。リーファがひそひそと、しかし明らかな怒鳴り声で、声を上げる。

「離してよリョウ……!あたしが敵をプルするか
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