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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十一話 瞳開かず──
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一般には知られていない事をご存じなのではと……僕の友人も、まだ、目が覚めないんです……」
 そう言いながら俯き、哀れっぽく涙目を作る。美少女なんかなら効果も上がるのだろうが、まぁやらないよりマシ程度だ。

「そうか……でも残念ながら、僕達もその手の事については何も分からないんだ。すまないね……」
「そうですか……」
『ふぅ〜ん』
 真剣っぽい表情のまま答えた須郷だったが、先程の若干の表情の変化は勿論涼人も見逃していない。
そうこう言っている内に、エレベータホールが見えて来た。

「ではもう一つ……須郷さん、今は何の“研究”を?」

 先程より、大きく、須郷の眉が動いた。
エレベータを待ちながら、須郷は返す。

「おや、僕の研究に興味があるのかな?」
「えぇ。とても。フルダイブは僕も元々興味があるもので……」
 猫を被ったまま、涼人は笑顔で答える。

「そうか……しかしすまないね。僕も企業に勤める身だし……自分の研究に付いてとペラペラ喋るのは、研究者としても、ね……」
「あぁ、それは確かにそうですよね……すみません。探る事をお聞きして……」
「いやぁ、まぁ興味があるのは良い事だよ」
「あはは……ありがとうございます」
 そうこうしている内に、エレベータが来た。
開いた扉を、須郷が先程までより若干早い歩き加減で中に入って行く。

「それじゃあ、失礼し──」
「あ、すみません!もう一つだけ!」
 そう言うと同時に、涼人がエレベータの中へと走り込むように乗り込み、それと同時に扉が閉じる。

「……まだ、あるのかい?」
「えぇ。すみません。あの須郷さん……」


「アンタ……人体実験とか興味有るんじゃねぇの?」


 完全に、須郷の表情が動いた。

「心配すんなよ。ここの監視カメラ、病院は最新式の癖に録音機能ねぇっぽいから、何喋ってもばれねぇぜ?」
「……何を言いたいのか分からないね?英雄クン?」
 首だけで振り向いた須郷の眼は、先程のキリトに向けたものと同じ目を見開いた三白眼で、睨みつけるように此方を見て居る。

「なぁに。バっくれるってんならかまわねぇよ?こっちにも確信もねぇからよ」
 腕を組んだ状態のまま、ニヤリと笑って言う涼人を睨み、須郷は若干忌々しそうに冷淡な声を紡ぐ。

「ガキが……録音機が有れば名誉棄損で訴えてやるんだけどね……」
「それが出来ねぇから此処で話すんだろうが。俺だって妙な理由でオマワリサン呼ばれたきゃねぇんでな。で……?」
 首を傾げるように再び問うた涼人に、須郷は鼻で笑って答えた。

「っは。人体実験?何を言ってるんだい君は。僕は科学者なんだ。それくらい弁えるさ。それに……」
 そこで一度言葉を区切る。そして完全に此方に覗き込むように顔を近
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