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SAO─戦士達の物語
SAO編
四十五話 拾われた少女
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れに退避するように肌は真っ白だ。非常に整った美しい顔立ちをしており、何処となく、日本人では無いかのようにも見えた。
「あー……」と言いながら追いついて来たキリトに対し、リョウは慌てて聞く。

「な、誰だ!?その嬢ちゃん」
「あー、いやそのだから、えーっとだな……」
「あのね、リョウこれには訳が……」
「……パパ?……ママ?」
 ビシリッ!と、空気が凍りつく音がした気がした。
最後の声は、完璧に調律されたピアノの高音のように、美しく良く通る声だった。
この場に居る人物から、それが目の前の少女の声である事は容易に想像が出来たが、問題なのは内容である。

 パパ、ママ。それが何を表わす単語であるか分からないほど、リョウは無知では無い。
そしてそれはいま、明らかに目の前に居る男女……否、「夫婦」に向けられていた。
それはつまり……

「あぁ……」
 小さく、リョウは半ば達観とした声で呟き……

「……お幸せに」
「「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 立ち去ろうとしたリョウを、キリトとアスナが必至の形相で引き止めた。

────

「はぁ!?拾ったぁ!?」
「ちょ、声でかいよ!」
「あ、あぁ、すまん」
 あの後、少女は直ぐに眠りについてしまい、現在はお昼寝中である。(まぁ実際隣に音は届かないのだが)
彼女をアスナが寝室のベットに寝かせた後、リョウ達は椅子に座って話し合いを始めていた。

「じゃあ、何か?森の肝試し言ったら、それがガセじゃ無くて、それどころか本物の嬢ちゃんが倒れてたと。こういう事で合ってるか?」
「うん……」
「大体あってるな……まぁ遠目に見てた時は立ってたけど」
「ふむ……」
 どうにも初めて遭遇する問題のため、リョウにも解決法が思い付かない。
先程リョウは少女に目を逸らしてみたが、この世界に置いてはプレイヤー、NPC、モンスター問わず動的オブジェクトならば必ず存在するはずのカラーカーソルは出ないし、かといってどう見ても不動オブジェクトでも無い。
自分でしゃべることも出来ているし、キリト達の手で移動させることも出来る上に、特にクエストが始まった様子も無いと言うから、恐らくはプレイヤーであると言う事だけは推測できるが……

「そういや、名前以外何にも思い出せねって?どういうこった?」
「あ、うん……ユイちゃんって名前みたいなんだけど……自分に関する記憶もほとんど無いみたいで……」
「多分だけど……精神的に……」
 キリトもアスナも泣きそうな表情でやっとそこまで口にする。
そもそも、ナーヴギアには、一応建前上年齢制限があったため、本来13歳以下の子供はこの世界には居ないはずなのだ。
それでも、それ以下の子供が迷い込んでしまっていると言う話は一応あるのだが……ユイは見
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