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SAO─戦士達の物語
SAO編
三十七話 いずれ訪れる日へ
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前から思ってはいたが、なかなかこの少女はアクティブな所が有るようだ。

『っま、これも女性特有の母性本能ってやつかねぇ?』
 今こんな事言うとちいと別な意味になっちまいそうだが……
そんな事を思いながら、リョウは偶然にも二人の視界に入らない位置にあったソファに腰掛け、腕を組んでニヤリと笑うのだった。

────

 夕日が沈みゆくアルゲード、その転移門へと俺とアスナは歩いていた。

「んじゃまぁ、またな。」
「う、うん……」
 あの後、ようやくと言った様子で俺の存在に気が付いた二人は顔を真っ赤にして慌てて離れ、爆笑する俺にひとしきり冷やかされた後、エギルに報告しようとする俺を大慌てで止めて何とか阻止。
で、それぞれ帰宅する事となって今に至る。

「あの、今日の事」
「分かってるって、誰にも言いやしねぇよあんなレアシーン」
「か ら か わ な い で!!」
 真っ赤な顔で再び主張するアスナに、おれはまたしても爆笑する。
アスナは拗ねたように前を向き、俺より幾分か速いスピードですたすたと歩き出してしまった。

「悪かった悪かった!そんな怒りなさんな、副団長殿」
「むぅ……」
 小走りで追い付き再び追いついてはみた物の、やはりこちらを向く気は無い様だ。
そんな事をしている内、転移門に入れる位置まで来た。
先に進み出る気で俺は若干前へと出ながら、アスナにかろうじて聞こえる程度の音量で呟く。

「でもまぁ……ありがとな。……あいつの事、よろしく頼むよ」
「え……」
「では!また会おう、騎士姫さん!」
「ちょ、リョウ!」
 最後まで聞かずにコマンドを発声。
転移する直前、アスナが驚いた顔をするのが見えたが、取りあえず無視しといた。

────

「帰ったぜ―」
「あ、おかえり」
 既に日も暮れて空が暗くなった頃、俺は我が家へっと辿り着いた。
台所には何時ものように黒髪を肩まで垂らした少女が、料理を作っている。

 我が家に帰りついた時、家の中に誰かがいるのと居ないので此処まで暖かさが違うのだと、この世界に来てから良く思い知らされる。

「?どうしたの?何か嬉しい事でもあった?」
「お、わかるか?」
 気が付けばそんな会話をしていた。多分、無意識のうちに微笑んでいたのだろう。

「んー、まぁ、飯食いながら話すさ。さてさて、今日のご飯は何ですかーっと」
「ふふふ……今日はね、ついに新しい調味料が完成したんだよ」
「何!?まさかお前……」
「えへへ、見てのお楽しみ」
 楽しそうに笑って台所へと向き直る少女……サチの背中を見ながら、俺は今日のアスナとキリトを思い出す。

 キリトの前でこんな光景が見られるその日も、そう遠くない。
そんな気がした。



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