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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
chapter 03 : fighting
#12 "are you serious?"
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たくはないな。その後の事も含めて。忘れられるもんでもないんだけど。

…:……あっさり切り捨てられたよな。自分のサラリーマン生活があんなに呆気なく終わるとはなあ。
ああいうのを世界が終わるような気分っていうのかな。もしこの街を追い出されるような事に なったらまたあんな気分を味わうのかな。
いや、今度は状況が違うか。
ゼロも言っていた。終わりなんて簡単にやって来ると。
現在(いま)がずっと続くなんて思うな、と。特にロアナプラ(この街)では。

アイツ自身本音の本音の部分では俺の事をどう思ってるんだろうな。
初めて会った時から日本語で語り掛けて来た事もあってか、俺はアイツを信頼してきた。 少なくともその信頼を裏切られた事はない。
何か隠し事をしているかのような素振りを たまに見せる事はあるが、俺にだけという訳でもないらしい。
過去の事情なんて詮索しないのが、"こちらの世界"での流儀だそうだがアイツはそれでも特別なんだそうだ。
聞けばバラライカさんもアイツに興味を 持ってるんだとか。何とかいう有名人と昔戦ったとかいう噂のせいだそうだ。真偽の程は定かではないらしいが。

さて、どうしようか。

指をほどいて視線をルームミラーに向ける。写るのは当然自分の顔の上半分だけ。鏡の中の自分と視線が重なる。

"いつか"なんて日は永遠に来ない。

相変わらず偉そうに偉そうな事を言う。あのお節介焼きの心配性は。
アイツが俺を追い出したがっているのか、残っても構わないと思っているのかはさっぱり分からない。
だけども心配してくれているのは確かだろう。
アイツからすれば俺もガルシア君も、同じような手の掛かる弟くらいにしか見えていないのかもしれないな………

ガルシア君は勇気を出して家族を取り戻した。
ゼロも言っていたじゃないか。あの子は"また"自分達と出会う事は幸せなんかじゃない、と。
アイツだって分かってるんだ。この街で起こる事の全てが悪い事ばかりなんかじゃないって。

レヴィと話をしよう。

その結果がどうなるにせよ、今のままウジウジ悩んでるよりはマシだ。俺の思い。腹の中にある全てをぶちまけよう。

鏡の中の俺は良い眼をしてる。自画自賛もいいところだが、自惚れる事もたまには必要だろう。

腹の前で指を組んで両手を強く握り合わせる。視線は鏡の中の自分から逸らさない。
………何だか全身が震え出してくる。武者震いってやつにしておこうか。俺の人生の大一番ってやつになるだろうしな。

レヴィが戻って来るのを車の助手席で待ちながら、俺は身体の震えを止める事もしなかった。
まず第一声はどうしようかな………











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