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少女1人>リリカルマジカル
第一話 幼児期@
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ならなくても放浪ができない訳ではなかったから。当時は俺も、家族にお祝いの言葉をもらえたのは素直に嬉しかったからな。……本当に。


「……というか、話が脱線していることに気付いた」
「だっせん?」
「お話の方がふらふらしちゃっていたってこと。だがいいか、妹よ。俺たちは、放浪はしている。それでもお兄ちゃんたちは冒険家なんだ」
「ほーろうかじゃないの?」
「牛乳とコーヒー牛乳ぐらい違う」

 コーヒー牛乳は好きだけど、牛乳は苦手な妹にはなんとなく違いが通じたみたいでした。


「さて、妹の誤解も解けたようですし、今日もさっそくふらふらするか」
「する! 今日はどこに行くの?」
「ちょっと冷えてきたしな…。温泉にでも行って、足をちゃぷちゃぷしてみたい気分だ」
「おんせん!」

 俺の提案に、嬉しそうに妹が声をあげた。母さんが今の仕事を始める前までは、時々家族で温泉に行ったりしていたからな。温泉入った後にマッサージチェアに座って、温泉卵食べて、最後にフルーツ・オレで締めるのがたまらなかった。それを見ていた妹も真似しようとしたけど、母さんが必死に止めていたっけ。なんでだろう。


「とりあえず、前に母さんの同僚の人から借りた、このパンフレットからチョイスするぞ!」
「うん。でもどんなおんせんがあるの?」

 たぶん美肌効果のある温泉とか、イケメンが出没しそうな温泉だと思う。このパンフレットをもらった時、同僚さんかなりキていたからな。


『最近お肌が荒れてきたわ…、温泉にでも行きたい。でも上層部はいつも無茶ばっかり言うし。休みも寝る時間もない。それにお出かけもできないからイケメンとの出会いもない、…………フ、フフフ、フフフフフフ』

 ……徹夜明けだったからテンションがやばかった。あれは絶対何か降臨してた。でもそのおかげで、このパンフレットがあったら暗黒面に落ちそうだから、ってことで貰えたけど。妹にはお肌にいい温泉があるとだけ伝えておこう。

「お母さんもお肌気にしているのかな?」
「どうだろ。母さんって三十代なのに見た目若いしな。どうせなら、うるおい成分たっぷりの温泉卵でもお土産にしよっか」
「そうしよ! お母さん喜んでくれるかな」

 間違いなく喜ぶに一票。むしろ狂喜乱舞して、「愛してるわー!」とさらに抱擁してきそうだ。というか、こっちの方が可能性として高い。母さんって子ども好きだからな、暴走レベルが振り切れているかもしれない。同僚さんと同じシフトだったはずなので、テンションに関しては目をつぶっておこう。

 なによりも母さんが喜んでくれるのならいいか、と自然と俺の頬が緩んだ。


「それじゃあ、さっそく卵を持って温泉に行くぞ」
「たまごも持っていくの?」
「俺たち4歳児。無一文」

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