第4話 代償
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きなくて茫然としていたが、忍が自分に声をかけてきたのに気づいた。純吾はその声にまた現実に引き戻される。
「何か、納得できないって顔をしている所申し訳ないんだけど。正直、君は私たちにとっても分からない、納得できないってことはたくさんあるの。
さっきは聞きそびれちゃったけど、本当に貴方の事について教えてもらえないかしら?」
回復したばかりの純吾を気遣ってか、恐る恐るといった様子で質問してくる。
まぁ、実際忍の様子がひどく丁寧だったのは、後ろのリリムに気を使っての事だった。
先程から純吾に対する態度が気に食わないのか、そもそも彼女以外の女性が純吾に近づくのが許せないのか、リリムはもの凄いイイ笑顔で純吾の後ろから忍を見ていた。
付け加えるなら、純吾が名乗った時に後ろの女性達に警戒をされていたのも、この笑顔が原因だった。
……そこはさておき。
忍から目線を逸らし、純吾は考え始める。正直、起きて意識がはっきりしてからずっと、純吾には気になる事がたくさんあった。
だけど、それは彼女たちも同じな様だ。そこで、純吾は顔をあげ提案をした。
「ジュンゴも、聞きたい事がある。だから、ジュンゴもシノブに聞いてもいい?」
「えぇ、勿論。けど、まずは私たちから質問してもいいかしら? あなたが傷だらけで倒れていたのが、私たち本当に不思議だったの」
「ん…、分かった。じゃあ、聞いて」
そうして、純吾は今までの事について話し始めた。
自分の今までの事。孤児院出身で、名古屋で板前修業をしていた事。ある日突然大地震が起こり、世界が崩壊した事。そしてその崩壊と共に現れた悪魔と、今日まで【悪魔召喚アプリ】で戦いながら生き延びた事など。
そして、自身の最後。名古屋に発生した暴徒に対し、人質の身代わりとなって重傷を負った事。そこから意識が消え、気が付いたらここにいたという事。
???話が終わりに近づき、ふと視線を感じて顔をあげる。
忍たちは、何とも言えない顔をしていた。不審の表情で、或いは疑問の眼差しでこちらを見定めるように凝視している。
「話は、これで終わり」
「……っ! あぁ、ぅん。良く分かったわ、話を聞かせてくれてありがとう」
純吾の確認を促す言葉に、慌てて取り繕う様な返事をする忍。その後ろでは、他の3人が集まって小声で何かを話し合っている。
……おかしい。
彼女の表情は、自分に向けた態度は、何かがおかしいと純吾は感じた。
そこで、唐突に気がつく。
自分の体験した事は、多くの人が体験している事にだ。
あの地震によって、日本中の多くの街が被害を受けたと仲間の一人であるフミから聞いた。つまり地震の規模は日本全土を覆い、どこかしこでも何かしら恐慌が
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