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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四話 リップシュタット戦役
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失礼します」

親っさんが地上車に乗るとウルマンが運転席、ルーデルが助手席に乗った。俺とヴァイトリングとヴェーネルトはもう一台に乗る。運転は俺だ。
「良いか、ヴァイトリング、ヴェーネルト。カールの前では親っさんって呼ぶんじゃねえ」

二人が訝しそうな顔をしている。ま、分からないでもないがな。
「フィーアさんがな、カールに悪い影響を与えかねないって心配してるんだ」
「……」
「海賊は評判が悪い。俺達は犯罪には手は出していねえよ。しかしそういう組織は少ねえんだ。だからな、カールの前では親っさんって呼ぶんじゃねえ」
「はい、分かりました」

親っさん、オーディンへ行くって言ってたな。だとすると金髪の所か。どうやらウチは金髪に味方するようだ。まあ戦争なら野郎が勝つだろうな、でもあいつら性格が悪いからな、礼儀知らずで恩知らずだし。親っさんが嫌な思いをしなければ良いんだけど……。



帝国暦 488年 2月 20日    オーディン  ローエングラム元帥府  カルステン・キア



オーディンは賑やかな騒ぎに包まれていた。昨日、イゼルローン要塞で捕虜交換式が有ったからな。もう戻って来ないと思った人が帰ってくる。それが家族なら嬉しいよな。夫や恋人が捕虜になっている人とか居るのかな。別の人と結婚したとか有るのかな、そう言うのは辛いよな、素直に喜べない……。

オーディンには巡航艦十隻でやってきた。親っさんはバッカニーアだけで良いって言ってたけどそうはいかない。黒姫の頭領が単艦で行動なんてしたら危なくてしかたねぇ。ウチはかなり裕福な組織と見られてるんだ、おまけに親っさんは超有名人だ。金目当ての誘拐を考える馬鹿な奴が居ないとも限らない。

昨年の帝国十大ニュースの内、三つまでが親っさんのニュースだった。第一位に銀河史上最大の身代金、黒姫一家三億帝国マルクを要求。第二位に武勲第一位、黒姫一家反乱軍撃破に活躍。皇帝崩御、イゼルローン要塞陥落を押さえて一位と二位を取った。第七位に黒姫一家、カストロプ動乱で巨利を得る。ちなみに昨年の流行語大賞は「私達は海賊なんです」だった。フェザーンじゃ親っさんをモデルにした映画を作ると言う話も有るらしい。もう親っさんは生きてる伝説だよ。

ローエングラム元帥府には親っさん、アンシュッツ副頭領、ウルマン、ルーデル、俺の五人で向かった。一応身なりは整えたぜ、何処から見ても良家の子弟だ。まあちょっと金はかかったけど用意するのは難しくなかった。最近ウチは臨時報酬や超勤手当が凄いからな。去年の俺の年収なんて十万帝国マルクを超えたぜ。源泉徴収票を見たときは眼が飛び出たよ。

元帥府の受付の女は最初は俺達に奇異な視線を向けてたけど親っさんが名乗ると露骨に避けるような態度を取りやがっ
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