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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
絶望の運命
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 アメリカは実に多彩な顔を持つ国家である。
 フロンティアや摩天楼だけではない。見渡す限りの農園もあれば荒涼とした平原もある。雪に覆われた山々があり湖がある。
 そこにいる人々も雑多である。白人だけではない。黒人やアジア系もいる。ネィティブもいる。まさに人種の坩堝だ。黒人、すなわちアフリカ系アメリカンはかっては南部に多くいた。その文化は今でも南部に色濃く残っている。その中心地がニューオーリンズである。
 この街はルイジアナ州のみならず南部の中心都市の一つでもある。ルイジアナの名が示す通りかってはフランスの植民地であった。
 だがイギリスとの戦争やアメリカの独立等を経てアメリカの領土となった。そこからこの街の新たな歴史がはじまった。
 この街はミシッシピー河の河口にあることから港町として栄えた。外輪船が行き交い、フランス風の建物が立ち並んでいた。やがてこの街を別のものが支配するようになる。
 音楽である。奴隷として連れて来られた黒人達が教会で賛美歌を習い、そこから黒人霊歌が誕生した。
 そしてジャズ、カントリー、ソウル、ゴスペル、ブルース等が誕生した。黒人達はその卓越した音楽センスでもって多くの素晴らしい音楽を生み出していった。
 今ではこの街は工業都市でもある。ヒューストンの石油工業とも繋がり、機械や化学も盛んである。
「こうして見ると色んな顔のある街ですね」
 佐久間は今では観光用となっている外輪船に乗りながら言った。
「繁栄もあれば差別もある、それの克服と栄光もある。貿易もしちえれば工業もある」
「まるでアメリカそのものですね」
 隣にいた沖がそれに合わせるように言った。
「アメリカにいた時にここにも何度か来たことがあります」
「そうだったのですか」
「はい。それで結構色んなことがありましたね」
 彼は微笑んで言った。
「タチの悪い男にからまれたこともありますよ。何でもクー=クラックス=クランとか言って」
「本当ですか!?」
 アメリカ南部を中心に活動する白人至上主義を旗印とする狂信的な団体である。真っ白な服と独特のフードを被っていることで知られている。
 彼等の主張はかなり極端である。標的はアフリカ系だけではない。ユダヤ系やアジア系、ヒスパニックやアイルランド系、イタリア系等のカトリックにも向けられる。先鋭的なプロテスタントでもあるのだ。
 その為実際には敵も多い。その野蛮な行動の為多くの者の嫌悪も買っている。
 かってクランの幹部だった男が政界に名乗り出たことがあった。そのまま白人至上主義を唱えていた。
 結果は無様なものであった。殆ど票が入らなかった。ことあるごとに反対のデモが起き、所属している政党から締め出しを受けるという有り様であった。
 所詮そうした詰まらない連中である。差別を謳い蛮行を繰り返
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