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エターナルトラベラー
第七十六話
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「ああ、何だかんだ言っても今日も行くのだね…そこの所はやはり掘り下げて聞いておかないといけないな」

「…おや、急用が入りましたので御前失礼させていただきます」

と言った甘粕は音も無く退出して言った。

「逃げられたか。しかし、これはまたからかう楽しみができたね」

と、悪魔のように呟く馨だけが残った。




六月も終わりに近づいたある日。

いつものように甘粕を連れ込んだユカリの家。

夕食が終わり、食後のティータイムを楽しんでいた時、甘粕がユカリに対して話があると切り出した。

「デヤンスタール…えっと?」

「ヴォバンです。一般的にはヴォバン侯爵と言われています。世界に7人しか居ない魔王のお一人ですな」

サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン。

通称ヴォバン侯爵はカンピオーネの一人であり、すでに200年を生きる怪物だ。

その間に屠ったまつろわぬ神は、イギリスにある賢人会議を持ってしても容易には知れない。

「そのヴォバン侯爵がどうしたんですか?」

「バルカン半島辺りを根城に持つ方なのですが、どうやら最近来日されたようです」

「へぇ、そうなんですか。ですが、それが私に何か関係あるのですか?」

「ヴォバン侯爵は血気盛んで戦闘に飢えていると聞きます。四年前などはまつろわぬ神を招来させて滅ぼそうとしたらしいです」

いやはやマッチポンプですな、と甘粕は苦笑いをしながら話した。

結局他のカンピオーネに横取りされてしまったらしいのですがと甘粕が言う。

「……つまり、おぬしは妾とユカリが神殺しの標的になると言っておるのか?」

話題がカンピオーネの事であったがゆえアテナは少し興味を持ったようだ。

「その確率は低くないかと…」

なるほど、とアテナ。

「私は面倒な事は勘弁して欲しいのだけれど…特に生死が掛かっているような物は…私はあの子を産むまでは死ねないわ。いえ、産んだからと言って死にたくは無いのだけれど」

ユカリの発言にクエスチョンマークが浮かんでいる甘粕。

「またそれか。それは人間で言う妄想の類ではないのか?そろそろ現実を見て生きても良い頃合だと妾は思うぞ」

と、まつろわぬ神に諭されているユカリ。

「えー?信じてくれないんだね、アテナは」

「未来視の能力は自分には無いと言っていたではないか。それでは考えうるユカリの症状は妄想であると妾は答を出したのだが…もしくは今はやりの『ちゅうにびょう』と言うやつであろう」

「むぅ…養ってくれる人さえ見つかれば今すぐにでも仕込むのだけれど」

「ユカリさん。女子高生が仕込むなんて言ってはいけません。女子高生の三年間は今しか無いのですから。大人など時間が経てば誰で
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