暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第2話  タバサと言う名の少女
[1/12]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「どうも初めまして。武神忍と申します。取り敢えず、見ての通り、式神使いと言う存在なので、今後とも宜しくお願いします」

 一応、当たり障りのない挨拶の後に、少し頭を下げる俺。……なのですが、俺自身が使い魔になった経験などないですし、挨拶も交わした事がないのに何故かキスだけは経験させられた相手に、どうやって対処して良いのか判らない、と言うのが正直な気持ちなのですが。

「タバサ」

 俺を少し見つめた後、必要最小限の言葉のみで答えを返す蒼い少女。メガネ越しの、暖かなとは表現し辛い視線に、情けない事に少し怯んで仕舞う俺。

 それにしても……。何故か、愛想も何もない返事が返されましたけど、俺が何か彼女の機嫌を損ねるような事をしたでしょうか。
 そう考えながら、タバサと名乗った少女を、それまでよりも少し感知の精度を高めた上で見つめ直す俺。
 ……いや、そんな記憶はないですし、そもそも、そんな不機嫌な雰囲気を彼女が発している訳でも有りません。

 ……だとすると、この対応が、デフォルトの彼女の対応と言う事なのでしょうか。

 それに、もうひとつ違和感が有ります。
 それは、彼女の口から自らの自己紹介が為されたはずなのですが、それが、どうも彼女の姿形と一致しない点。

 これは、俺に対して彼女が本名を名乗ったと言う訳では無く、魔法名か何かを名乗ったと考えるべきでしょうか。

 ただ、これも仕方がない事ですか。俺の方も真名を名乗った訳ではないから、この部分に関してはお互い様と言う事ですから。

「そうしたら、俺は一体、何の仕事をしたら良いのでしょうか?」

 しかし、何時までも怯んでいる訳にも行きません。それに、真っ直ぐに俺を見つめている彼女の視線は、俺に言葉を続ける事を要求しているような気もします。
 そう考えてから、最初に為すべき質問を行う俺。但し、本来ならば、この質問は契約を交わす前に為すべき質問だとは思うのですが。
 もっとも、この部分に関しては、契約時にもっと詳しい説明が為されるかと思っていた俺の方にもかなりの非が有るので、そう強く主張出来る事でも有りませんが。

 それで、使い魔としての仕事で、俺の式神たちの例で言うのなら、彼ら、彼女らの仕事は多岐に亘っています。……なのですが、その中でも一番大きいのは退魔師としての俺の戦闘補助と言う御仕事。
 俺自身が前衛型の退魔師ですから、俺の式神達の役割は、魔法による援護などが主となると言う事ですね。

 しかし、ここは魔法学院で、現在はその魔法使い達の最初の使い魔を召喚する通過儀礼の最中。
 つまり、このタバサと言う名前を名乗った少女は、おそらく魔法使いとしての階梯は高いとは思えません。多分ですけど、入信者程度だと思います。
 そんな魔法使いに、本来なら
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ