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続・輪廻
第五章
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 白い床に赤い扉や椅子にテーブル、店の中は当然ながら中華のものだ。
 豚骨の白いスープの中にある太い麺や山盛りの野菜に豚肉を食べながらこう言ったのである。
「お土産色々あるよね」
「だよな。何を買えばいいのか」
「正直迷うよな」
「縁起ものとかな」
「一杯あるよな」
「何でもかんでもな」
「うん、だからね」
 それでだと言う隆一だった。ちゃんぽんのスープは濃厚でそれでいて飲みやすい。太いちゃんぽんの麺いよく合っている。
 それを食べながらこう言うのだった。
「本当に何を買おうかな」
「災厄除けのお守りみたいなのもあったよな」
 友人の一人が蒸し海老餃子を食べながら言った。
「ああいうのとかな」
「うん、あったね」
「何がいいだろうな、本当に」
「そうだね、ここは」
 隆一は百合子が喜んでくれるものを考えた。百合子はお洒落でしかも可愛いものが好きだ。それならだった。
「中華風の服と」
「チャイナドレスか?」
「あっ、また別の服ね」
 それを買うというのだ。チャイナドレスは刺激的過ぎてかえって百合子の気分を害してしまうと考えたからだ。
「それにしようかなって」
「カンフーの服とかか?」
「それにしようかな」
 隆一は言われて頷く。
「そう考えてるけれど」
「じゃあそれでいいんじゃないのか?」
「なあ」
「それだったらな」
 他の友人達も言う。
「それと縁起ものとかな」
「色々買って」
「ハウステンボスじゃ扇買ったし」
 それはもう買っていた。百合子の好きな色である黒の扇をだ。
「カステラも買ったし」
「バイト先のマスターの所望だったな」
「また随分買ったな」
「マスターってお酒好きだけれど甘いものも好きでね」
 隆一はこのことは素直に笑って言えた。
「カステラ頼まれたんだよね」
「それで買ったんだな、あれだけ」
「色々な種類のを」
「カステラはやっぱり長崎だよね」
 味が違うのだ。長崎のカステラは他の場所で作られているものとは別格だ、伊達にカステラの本場ではないのだ。
「食べてみたけれど美味しいし」
「まあな。カステラはな」
「やっぱり長崎だよな」
「それも買ったし」
 マスターへの賄賂は忘れなかった。
「両親へのも買ったし」
「で、ここでもか」
「やっぱり買うんだな」
「うん、買うよ」
 誰に買うのかはあえて言わないのだった。
「そうするよ」
「じゃあ縁起ものにか」
「それにカンフーの服か」
「それだったらいいしね」
 スタイルのいい百合子ならカンフーの服もよく似合う、こう確信して言。
「じゃあ」
「ああ、これ食ったら買いに行くか」
「そうしような」
 友人達は笑顔で中華街の料理を食べながら話す。そうしてだった。
 隆一は土産ものの
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