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金木犀の許嫁
第十六話 節度のある人その十一

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「私はね」
「そうなのね、私は許嫁がね」
「佐京君がね」
「いてくれる様になったけれど」
 それでもというのだった。
「お姉ちゃんはなのね」
「そうした考えよ」
「強くは思ってないのね」
「恋愛についてはね」
「そうなのね」
「お勉強とテニスとお友達と読書と」
 それにというのだ。
「お酒と美味しい食べものとね」
「私達がいるから」
「充分よ」
 満足しているというのだ。
「本当にね」
「お姉ちゃんとしては」
「だから恋愛がなくても」
「よくて」
「あってもね」
 それでもというのだ。
「怖い思いはね」
「したくないわね」
「生き地獄なんてね」
 それこそというのだ。
「味わいたくないし」
「そうなるわね」
「遠井さんっていい人よ」
 その酷い目に遭った人はというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「けれどね」
 そうであってもというのだ。
「酷いことにね」
「なったりするのね」
「もう惚れたが悪いかっていうか」
「下手に乗ったら」
「恋愛はね」
「怖いのね」
「そうしたものでもあるってわかったから」
 その彼を見てというのだ。
「私はね」
「恋愛はいいとも考えてるのね」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「私も痛い目には遭いたくないから」
「そこは大きいわね」
「凄くね、しかしね」
「しかし?」
「いや、恋は甘酸っぱいというけれど」
 真昼は遠い目になって話した。
「時には怖くて痛いもので」
「トラウマにもなるものね」
「下手したらね、そのこともね」
「覚えておかないといけないわね」
「そう思うわ」 
 こう妹に話した、そしてだった。
 真昼は夜空と佐京それに白華、幸雄と楽しい生活を送った。恋愛については色々思っても家庭においては満足していた。


第十六話   完


                  2024・3・1
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