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金木犀の許嫁
第十六話 節度のある人その八

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「流石にね」
「タイプの人が傍にいたら」
「私もね」
 それこそという口調で言うのだった。
「気にするわ」
「それで告白も」
「告白は」
 それはというと。
「自分からはね」
「出来ない?」
「そんな勇気はね」
 妹に顔を赤くさせて答えた。
「ないわよ」
「そうなの」
「そういうことしたことないし」
 経験がないというのだ。
「だからね」
「それでなの」
「ええ」
 そうだというのだ。
「私はね」
「しないのね」
「しないわ」
 実際にというのだ。
「もっと言えば出来ないわよ」
「告白無理?」
「無理も無理で」 
 それこそというのだ。
「天地がひっくり返ってもね」
「無理なの」
「ええ、私はね」
「お姉ちゃんそうだったのね」
「恋愛経験ないのよ」
「そういえばこれまで聞いてないわ」
 妹である夜空もだった。
「お姉ちゃんからね」
「そうしたお話なかったでしょ」
「ええ」
 実際にというのだ。
「本当にね」
「そうしたことはね」 
「縁がなくて」
「告白したこともないしされたこともね」 
 両方というのだ。
「なくて経験がよ」
「ないから」
「無理よ」
「お姉ちゃん美人なのに」
「いや、お顔はね」
 こちらのことはというのだ。
「どうも関係ないみたい」
「縁ね」
「それ次第よ、縁があったら」
 そうであるならというのだ。
「どんな人でもね」
「経験出来るのね」
「私縁がなくてね」
「経験なくて」
「告白なんて」
 好きになった相手が出来てもというのだ。
「無理よ」
「そうなのね」
「ええ、けれどどうした人が出てくれたらってね」
 その様にというのだ。
「思うことはね」
「あるのね」
「ええ」
 そうだというのだ。
「やっぱりね」
「そうなのね」
「本当にね」 
 真昼はさらに言った。
「縁があるなら」
「あって欲しいのね」
「今充実していて別にいいと思っても」
 それと共にというのだ。
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